飛躍的(Exponential)にビジネスを成長させる秘訣:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ
Exponential Organization
Exponential Organizationっていう表現をお聞きになったことがありますか?
Exponentialというのは日本語で訳すと「指数関数的」ということです。昨年比に比べ数倍成長するのではなく、数十倍で年々成長スピードを加速させている(なので指数関数的)企業のことです。2~3年前からアメリカを中心にホットな言葉になっています。(もしよければ、Exponentialについて説明した本が日本語版ででています。ご興味があれば読んでみてください)
- 作者: サリム・イスマイル,マイケル・S・マローン,ユーリ・ファン・ギースト,ピーター・H・ディアマンディス,小林啓倫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2015/08/05
- メディア: 単行本
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今回は、Exponential Organizationの一つとしてNetflixの成長について取り上げたHBR(ハーバードレビュー)の記事を紹介したいと思います。
タイトルは”How Netflix Expanded to 190 Countries in 8 years (どうやってNetflixは8年で190もの国でビジネスを拡張させたか)”です。
(雑誌の定期購読者以外は記事は3記事までは無料でアクセス。その後は1記事あたり約90ドルかかりますのでお忘れなく)
Netflixのビジネスの概要
私はあまりコンテンツビジネスに興味がないのですが、それでもNetflixについては記事で何度も見たことがあります。
この記事によると、
- 現在190以上の国で7300万人の視聴者(73million subscribers)が海外にいる(自国のアメリカを含めると1億3000万人)
- 2018年の第2四半期には初めて海外収入が自国収入を超えた(In the second quarter of 2018, Its international streaming revenues exceeded domestic streaming revenues for the first time.)
ということす。この業績は、2010年まではUSのみでビジネスを行い、2015年には50カ国に進出していなかったことを考えると、まさにExponentialと言っていい伸びですね。
筆者は特にコンテンツビジネスというのは、①各国の規制(national regulatory restriction)が多い、②母国語のコンテンツを好む(prefer local-language programming)、③コンテンツにお金を払いたがらない(hesitant to pay for streaming services)、④多くの国で厳しい競合が起こっている(strong competition exists in many countries)ことを考えると、Netflixの成長は特筆すべきであり他のグローバル企業も学ぶことが多いと記しています。
Netflixが成功した2つの理由
筆者によるとNetflixが成功した理由は2つあるということです:
- 3段階での拡大戦略:Netflixのグローバル展開ははまず地理的またそれ以外にもいろいろ類似点が多いカナダからスタートし、その後50か国、そして最後に190カ国にまで展開しました。それぞれの段階で、前段階で学んだ教訓と、ビッグデータから得られた分析結果をもとにしたマーケット戦略を武器にしています。
- 新市場への参入方法:それぞれの国の事情を考慮し、地元の企業とタッグを組んでいます(例えば日本ではKDDIですね)。また自社コンテンツもアメリカだけでなく現在17カ国で作成しています。この際にはもちろんその国の制作会社との協働が必要ですが、制作会社としては自国だけでなく他の国でコンテンツを展開するというメリットがあるため、Win-win関係が築けているということです。
こうしたExponential globalization(指数関数的グローバル展開)ができるのは、一つにはネットの技術が進歩し、どのような国でもネット環境が整ったということが挙げられます。ただし、実際にこれほど急速的にグローバルでビジネスをコンテンツビジネスで成功させるには技術だけでなく、また一方向からの発信だけでもなくなく、ビッグデータを活用しながら、それぞれの国のニーズを把握しつつまた国と国をつなぐ戦略が重要なのだろうと思いました。
日本には、ここまで見据えてしかもスピーディーにビジネスを急成長できる企業があるでしょうか?
こうした広い視野での戦略ができる企業が出てくることを楽しみにしています!