顧客中心志向の企業文化の作り方:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ
Customer Centricity (顧客中心主義)もしくはその形容詞であるCustomer Centric(顧客中心主義志向の)という言葉は、よくビジネス雑誌やニュース、外資系企業(日本から見てですが😋)という言葉はよく使われます。
これは日本でよく言われる「お客様は神様です」的なことではなく、企業で意思決定をするにあたり、顧客に焦点をあてて考えるといったほうが正しいような気がします。
実際、-Centricの語源を”Oxford Wordpower"で調べると
(used in compounds) concentrating on or interested in the thing mentioned
中心に置くというよりは、Concentrate(集中する、焦点をあてる)とかInterested(興味を持つ)というように、日本人が感じるCenterの意味とは若干違う感じがします。
この言葉をよくビジネス上で使うのは、現在の世界で最も成功しているといっていいAmazonが自分たちの使命を”Eartsh's most customer-centric company(地球で最も顧客を考える企業”と言っていることと無関係ではないと思います(よろしければ、Amazonのグローバルの採用サイトで確認してみてください)。
昨今ビジネスを成功させるにあたり、重要と考えられているCustomer Centricityですが、それを根付かせるための障害となるのが企業文化です。最近HBR(ハーバードビジネスレビュー)で読んだ、「6 ways to Build a Customer-Centric Culture (顧客中心志向の企業文化を築くための6つの方法)」では、ある調査で自分の会社が顧客中心志向であると自信を持って言えるマーケターは14%しかおらず、顧客中心主義が根付かないその根本には企業文化があるということです。
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では何が必要かというと、リーダーが社員に必要な心構え(mindset) と価値観(value)を植え付けるようにしなければいけないのですが、そのための具体的な方法を6つ掲載しています。
- Operationalize customer empathy(顧客に共感できる仕組みを作る)
- Hire for customer orientation(顧客志向の人材を採用する)
- Democratize customer insights(顧客の考えに社員が触れるようにする)
- Facilitate direct interaction with customers(顧客と直に触れる機会を促す)
- Link employee culture to customer outcomes (企業文化と顧客への結果を結びつける)
- Tie compensation to the customer(報償制度を顧客と結びづける)
この中で私が興味深いと思ったのは、1.Operationalize customer empathy(顧客に共感できる仕組みを作る)と5.Link employee culture to customer outcomes (企業文化と顧客への結果を結びつける)です。
1については、スラックというチャットを提供する会社のカスタマーサポート担当社員が、顧客と深いかかわりをもって、自分たちで顧客像を書き出し、自社製品をどのように使うかをよりよく理解しようという試みが紹介されていました。
PWCの調査によると38%の回答者は企業は自分たちを理解していないと思っているようです。意図的に顧客がどういう人たち化を理解しようという仕組みを作ることは重要だと思います。
5も非常に重要だと思います。企業文化が、会社のビジネスの結果を出すためにあるのであればその結びつきがどうあるかを明らかにすることが必要ですよね。実際IBMでは、社員の「やる気」(”Engagement”をあえて「やる気」と訳しますが、これがいいかどうかはまた別のところで話したいと思います)が顧客の経験スコアの3分の2を占めることがわかり、「社員がIBMについてよく思っていれば顧客もそのように思ってくれる」という、直感的にわかっていたことが証明できたと書いています。
この結論はIBMに限らず多くの会社に当てはまるのでしょうか。万国問わず、人間というのは自分がどのように扱われるかが他人に対する態度に反映されるものです。ですので、企業のリーダーや人事は常に社員をその社員が顧客に接する態度で接する必要があるということを肝に銘じておく必要があるとします。
一朝一夕には作れない企業文化ですが、変えようとしなければ変えられないのもまた事実。一歩一歩努力していくことが重要ですね。