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AIショッピングが主流になる日も近い?:-ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

ネット・ショッピングの次に何が・・

 ここ10年くらいで自分の買い物の仕方がずいぶん変わりました。

 もちろんその理由はインターネット。一定価格以上(だいたい2000円くらい?)だと、まずネットで調べてどの商品がいいかを探し、そのあとアマゾンや楽天などで価格を調べて一番リーズナブルなものをゲット。

 そんな中、アルゴリズムがさらに買い物の仕方を変えてくれることを期待させる記事をハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)のオンラインサイトで見つけたので読んでみることにしました。

 題は”How Retail Changes When Algorithm Curate Everything We Buy (アルゴリズムが購入するものすべてにアドバイスをするとき、小売りはどう変わるのか)”です。

 

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 題が示す通り、この記事のキーワードは、1)キューレーション(Curateの名詞)2アルゴリズムです。キューレーションとは”情報を収集、整理、要約、公開すること”という意味の英語です。2)アルゴリズムは、この記事では今話題の”ビッグデータおよび機械学習を活用して一定のパターンを導く手法”という意味で使っています。要は、”AI技術を使って自分が買いたいものを選んでくれるような仕組みができた時に小売業に何が起こるか”というのがこの記事のテーマです。

 筆者はIndependent curating engines(独立したキューレーションサイト)が、小売業に大きな衝撃を与えるトリガーとなるといっています。第一の波は今既に経験しているようにネットで物が買えるということですが、第二の波は個人にあったお勧め機能やネット内の情報をくまなく探して一番良い買い物を勧めるといった機能が格段に上がるということです。

以下原文

Soon, independent curating engine like these could trigger the next wave of disruption in retail. The first stage of the digital shopping revolution saved consumers time and money by letting them buy things they already wanted without having to go to a traditional retail store. A major part of the second stage will likely be a dramatic refinement of technologies that tailor recommendations and then scour the internet for the best deal.

 

実際に旅行業界では第二の波が先行しているのでその現状を見ていきましょう。

 

旅行業界においては既に20%がキュレーション(比較)サイト経由

 

 グローバル的には、Expedia(エクスペディア), Booking Holdings(日本ではブッキングドットコムで有名ですね), C-Trip(中国系、日本ではTrip.comというブランド)3社で旅行取扱額の既に2割(130兆円)も占めてということです。これは日本では比較サイトといわれていますが、この記事のトピックであるまさにキューレーションサイトなのです。そして筆者はこの旅行業界で起こっていることが小売業でも起こるというのです。

 

 ちなみに、日本でもネットでの旅行の予約は増えていますが、いわゆるキューレーションサイトではなく、楽天トラベルやじゃらんなど旅行業者が運営する予約サイトがまだ主流な感じがしますね。実際2015年の消費者庁が行った調査でも60%近くは事業者のサイトで、比較サイトの取り扱いは30%弱にとどまっています。(出典:オンライン旅行取引サービスの動向整理

 

今後小売りでAIはどう活用されるのか?

今後台頭するキューレーションサービスは3つあるということです

  • Market Mappers:これはネットからその人にあった最適の商品を見つけ出し、提案するうものです。例えば航空券販売ではあらゆる選択肢からその人の好み(例:価格、時間、ルート)に合わせて提案をするというのが当たり前になっています。小売りでもグーグルショッピングなどでその例がありますが、まだ規模は大きくありません。(ちなみにこの記事を読んでグーグルショッピングを試してみました。サイトをまたがって検索できるのはいいですが(ただしAmazon除く)、選択肢が多すぎて絞り切れませんでした。。
  • Digital Personal Shoppers: 個人の希望・好みに応じてお勧めをするというものです。記事ではイギリスのThread (男性服専門)サイトが紹介されていましたが、日本では同じようなサイトはないのかな(できれば女性で)?Zozotownや化粧品だとアットコスメなどでそのような機能があれば使いたいユーザーはあると思いますが。
  • Review Aggregators(レビューの集積):ネットでの買い物で参考になるのがレビューですが、最近はメーカーが著名なレビューワーにサンプルを送って高評価を付けさせる例も多くなっています。レビューの公平性を保つため、アマゾンではサンプルをアマゾン経由でしかメーカーが届けられない仕組みにしているようですね。Amazon Vineプログラムがそれなので、日本でも同様の仕組みになっているのでしょう(?)。

AIショッピングが導入されやすい商品は?

 かといってすべての小売りが旅行業のようにキューレーションサイトが占有するということにはならないだろうということです。というのも1)フライト情報の表示は航空会社間で標準化されており比較がしやすく組み合わせがしやすいこと、2)さらに比較的高価なため仲介料を取れるというメリットがあるからです。

(以下原文)

Flights are already displayed in a standardized way on airline websites, making it relatively straightforward to trawl offers, make comparisons, and assemble packages.(中略)Flights are relatively expensive, so it’s been worth it to the travel platforms to help a customer choose just one.

 ですので、AIショッピングがうまく適用されるのは、グローバルで売れて規模が大きいもの(例、アパレルやテクノロジー商品)ではないかといっています。

 

 いずれにせよAIが進む中小売業はどうしたら客に足を運んでもらえるようになるか、考えていく必要がありますね。