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データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

同じミスでも態度によって罰せられ方が違う?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

スキャンダルがあった時は攻撃的なリーダーほど損?

 

何か重大なミスが起こり、まだその原因がはっきりしないとき、そのリーダーが

  • 他人に対して高圧で自分のことしか考えていないような人か
  • 普段誠実で他人を思いやり、育てる人か

によって同じミスでも組織や世間から受ける批判や制裁は変わってくるでしょうか?

 

それについて調査した結果をまとめた興味深い記事がハーバードビジネスレビュー(HBR)に掲載されていたのでご紹介したいと思います。

タイトルは”Agressive Leaders Are More Likely to Be Punished for Their Mistakes (攻撃的なリーダーほど間違いに対して罰せられる確率が高い)”です。

 

hbr.org

 *記事 の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

記事によるとリーダーの影響力の行使の方法は2パターンあります。

  • 支配(Dominance):自分の意見を押し通し周囲を高圧的な態度でしたがわせることをためらわない。周りの人間は自分の成功のためのツールであるとみなしている。
  • 尊敬(Prestige):自分の知識や経験を共有することをためらわない。自分は周りの人間のための支援のためにいるとみなしている。

皆さんの予想通り(またタイトルが示しているように)、その間違いがあいまいなときに支配型のリーダーのほうが尊敬型のリーダーよりも受けた制裁が大きかったのです。

 

筆者は以下のような研究結果を示しています。

  • プロアイスホッケーでのマイナーなペナルティの数について:2シーズン、1300ものデータを観察したところ、支配型のホッケープレーヤーのほうが、尊敬型のホッケープレーヤーよりもペナルティを受ける確率が13%も高い)
  • 実験型の調査:プロでトレーニングを受けたリーダーが5~6人のメンバーを率いて問題解決を行った時、最後の最後でミスが見つかった。そのミスの原因はシステム異常なのか、リーダーが自分の利益のためにルールに従わなかったせいかはわからない。にもかかわらず支配型リーダーの元にいたメンバーは、リーダーのせいだと決めつけた

その他、様々な研究結果でも同じような結果が出ており、女性のリーダー間でも支配型と尊敬型では支配型のリーダーへの制裁が大きかったということです。

 

このような研究結果だけでなく、実際にアメリカで起こった納税問題に対しての2人の有名人の取り扱いの違い(ティモシー・ガイトナー、トム・ダシュル:両方ともオバマ政権の高官の候補で納税問題が発覚したにもかかわらずガイトナーは財務長官に任命)や同じような顧客詐欺での2つのファンドの判決の違い(4憶ドルの詐欺の疑いのファンドは20年の禁固刑になったにもかかわらず、17憶ドルの詐欺の疑いのファンドは禁固刑を逃れた)などをあげ、リーダーのタイプにより制裁の大きさが違うことを紹介しています。

 

この研究結果からリーダーや組織が学ぶべきこと

筆者は3つの点をこの結果から学べるのではないかと提唱しています。

  • どのようなリーダーが間違いがあった時に大きな反響を受けるかを知ることができる(These results inform us What kind of leaders are most susceptible to backlash for misteks)
  • 危機が起こった時支配型のリーダーがトップの際についての役に立つフレームワークを提供している(Our research provides a useful framework on what organizations with dominant leaders at the helm can do when a crisis strikes.)
  • 間違いを制裁する機関で働く人についてはとりわけリーダーのキャラクターというような些細なことにより自分たちの意思決定にバイアスが生じることがあるかもしれないということに注意する(They should be mindful of how suble leader characteristics, such as status type, could influence their ability to deliver a bias free decision).

この記事を読んで

普段自分のエゴを押し通しているような人に対して何かあった時に制裁が大きいというのは当然のような気もする一方、ミスだけを見ると同じなのになんとなく不公平だなと思ったのは私だけでしょうか??特にファンドの例はあまりにも制裁の差が大きすぎるため、人間のバイアスというのは怖いものだなと思いました。

 

この記事はリーダーについて書かれていますが、このような現象は会社の日常の組織内では頻繁に起こっていると思います。例えば、何かミスがあった時にその人の日ごろの態度によりそのミスの解釈や責任の所在、そのミスをした人に対する対応が違っているというのは珍しいことではないのではないでしょうか?

 

私自身はこの記事を読んで、

①自分だけ(自分のグループだけ)がいいと思われる態度を慎む

②何か問題が起こった時に自分の解釈が間違っているのではないかと疑う

ということから始めたいと思います。