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過去10年でビジネスの変革を最もうまく行ったトップ20企業とは?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

ビジネスの変革ができない企業は生き残れない

 

技術や社会が目まぐるしく変わる中、現状の成功に甘んじることなくビジネスを変革していくことは今の企業にとって必須になっています。

 

では、どのような企業がビジネスの変革に成功しているのでしょうか?その調査結果を掲載した記事がハーバードビジネスレビュー(HBR)に掲載されていましたので、今回はこの記事を紹介したいと思います。

 

タイトルは”The Top 20 Business Transformations of the Last Decade (過去10年でビジネスの変革に成功したトップ20企業)”です。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

 このランキングは、Innosightという戦略系コンサルティング会社が2017年に引き続き以下の3つ基準で行ったものです。

 

  • 新分野の成長度(New Growth):新製品、サービス、市場、ビジネスモデルの創出にどれだけ成功したか?
  • コアビジネスの活用(Repositioning the core):もともとのコアビジネスの領域をビジネスの変革にどれだけ活用的に利用したか?
  • 財務インパクト(Financials):ビジネスの変革は財務上でもプラスの影響があるかどうか?具体的には企業変革中の売上の増加率、収益性、株価の増加率などを調べたようです。

調査対象企業はS&P500社とグローバルのトップ2000社。最初のスクリーニングで、戦略的な企業変革に対する多大な進捗がみられる会社を抽出したところ、なんと調査対象企業の3%の52社しか残らなかったそうです。その後、Innosightが選出した選考委員会(著名なビジネススクールの教授や元CEOなど)により27社まで絞られ、最終的に20社に絞られました。

 

ビジネスの変革を最もうまく行ったトップ20企業

 トップ20の全リストはInnosightのサイトで無料で見ることができますのでそちらをご参照ください。トップ5は以下のように皆さんがおなじみの会社だと思います。

 

トップ5(かっこ書きは前回2017年の結果です)

  1. ネットフリックス(1位)
  2. アドビ(6位)
  3. アマゾン(1位:ネットフリックスとタイ)
  4. テンセント(ランク外)
  5. マイクロソフト(8位)

www.innosight.com

今回のトップ20で際立ったのは中国企業の躍進です。前回2017年のときには15位にレノボが入っていただけですが、今回はトップ10に3社(6位:アリババ、9位に平安保険(英語名Ping An))、18位にAIA(生命保険・金融会社)が入っておりトップ20に4社入っています。

 

日本は残念ながら17位に富士フィルムが入ったのみです。国別ではアメリカがダントツのトップ(11社)ですが、シンガポール・フランス・ドイツが各国2社ずつランクインしていることを考えても、少し寂しい結果ですね。。

 

ちなみに2017年の結果もInnosight社のページで無料で見れますので参考にしてください。今回と調査方法は変わっていないそうですが、「過去10年」の企業変革を対象として2年間でこのように企業が入れ替わるのは驚きです。これこそビジネス環境の変化の激しさを物語っているのでしょうか。

www.innosight.com

 

ビジネスの変革に必要なのは”企業の目的”

このように新規成長ビジネスを作り出し、全体のビジネスを伸ばした企業にはどのような特徴があるのでしょうか。

 

筆者は、"より高い目的を企業文化に浸透させると決意し、その目的を戦略の決定や日常の会話で明確にすることで、成功を収めてきた(It's the decision to infuse a higher purpose into the culture, one that guides strategic decisions and give clarity to everyday talks, that has propelled the companies to success)” と述べています。

 

例えば今回1位のネットフリックスは、2013年にコンテンツをデジタル配信する企業からエミー賞やオスカー賞を取れるようなコンテンツを作るリーディングカンパニーに移ることを決定しました。その時、当時のCEOは社員に11ページものメモを配り”自分たちは7イレブンではなくスターバックスユナイテッド航空ではなくサウスウエストのように集中型の熱狂的なブランド(Focused Passion Brand)を作るのだと訴えています。

  

4位に入った中国企業のテンセントはもともとネット通信企業でしたが、2005年に上場後に自らの企業の目的を”ユーザーの基本ニーズにこたえる形で戦略を実行する”と述べています。

上場数年後に自らの会社の使命を”デジタルイノベーションにより人々の生活の質を向上させる(improving the quality of human life through digital innovation)"定義。教育から娯楽、ライドシェアからフィンテックまで幅広い事業を行ってきました。2019年にはさらに使命を見直し”社会にとってためになるテクノロジー(tech for social good)"としています。最近のESGの流れを受けたミッションの見直しなのでしょうね。

 

「時代に合わせて企業の立ち位置を見直し、その実行のために目的志向型の使命(purpose-driven mission)を活用することが、激しい変化の時代には求められている」と筆者は結論付けています。日本企業も技術の強みに固執するのではなく、そもそも何を自分たちの企業の使命にするかを真剣に定義するところから始める必要があるのかもしれませんね。