学ぶの原点に立ち戻る:「思考の整理学」を読んで
コロナ禍で増した学習欲・知識欲
コロナ禍では外出する機会がめっきり増え、家にいる時間が増えました。
そうすると、「いろいろなことを学びたい」、「学んだことをしっかり身に着けたい」という気持ちがふつふつと沸き上がりました。
そこで書店で手に取ったのが外山滋比古さんの「思考の生理学」。
1986年に初版が刊行されて以来、245万部発行されている驚異のベストセラー。
「東大・京大で1番読まれた本」とオビにもでかでかと掲載されていました。
この本を読み「学ぶ」ということあたって改めて自分に必要だと思うことは以下の3つでしたので、この3つの点の観点からこの本を紹介していきたいと思います。
- 関心の軸を持つ
- 新しいものは一から生まれるのではなく組み合わせで生まれる
- ノートからさらにノートを作ることが重要
関心の軸を持てば本を読まなくてもいい?
筆者は思考をまとめるうえで、「ことわざ」を参考にすることをすすめています。
何故かというとことわざというものは具体的に世の中で起こっていることを抽象化し、それが記憶に残るような形でまとめられているからなんですね。
いろいろな経験や知識をただ記録するだけでは、その量が膨大になりすぎてただ「記録したもの」だけになります。
でもその記録を抽象化してコンパクトにまとめることで自分の思考が体系づけられるというのです。
このコンパクトにまとめられるかが、本書で有名な、グライダー能力(受動的に知識を得るだけ)に加えて飛行機能力(自分で物事を発見する能力)を身に着けられるかのカギになってくるのです。
その思考体系を作るための前提として必要なのが「関心・興味の核」を明確にすること。
筆者は以下のように述べ、関心・興味の核を明確化し、ことわざ化すれば本を読まなくても思考の体系化ができるとまで言っています。
”(一般化して、なるべく普遍性の高い形にまとめておくこと=ことわざ化する)ためには、関心・興味の核をはっきりさせる。その核に凝集する具体的な事象、経験を一般的命題に昇華して自分だけのことわざの世界を作り上げる。このようにすれば本を読まない人間でも思考の体系を作り上げることができる”
本を読まなくてもいいというのはその関心・興味の分野によるんでしょうけどね😅。
自分で一から生み出そうとしない!
これは基本ですが重要なことです。何かアウトプットをするときに「自分で一から組み立てないと」と思うと、それだけでハードルが高くなります。実際「知のエディターシップ(作成)」において筆者は”自分自身がどのくらい独創的であるかはさして問題がない。持っている知識をいかなる組み合わせでどういう順序で並べるかが緊要事”と言っています。
「並べるだけなら簡単では?」と思うことが大きな勘違いですよね。実際ブログを書くようになって、たとえ一冊の本についてだけでも、ちょっとした考えをまとめるというのは決して簡単ではないということを再認識しました。いろいろな見識を統合し、そこで新たな考えを生み出すということはどんなに難しいことか!
一度読んで書き出すだけでは身につかない!
本を読んだ後気になったところを書き出す、メモするということはよくやりますが、筆者はノートに基づいてさらにノートを作る「メタ・ノート」の作成を推奨しています。
一つは思考は時間を置くことによりいろいろな経験(もしくは自分の無意識)から熟成するため。もう一つは違うノートに移植することにより新しいコンテクスト(意味付け)が与えられるかもしれないからだというのです。
そしてこのメタ・ノートは、時折見直すことでまた新たな思考が生まれるとのことです。
この本を読んで
「学びたい」という気持ちは時折衝動的に表れます。
そして、片っ端から本を読んだりネットで調べて少し自分が「成長」した気になります。
でも振り返った時に、何が身についているのか。。そう考えるたび、結局何も身についていない、自分のふがいなさを反省します。
このベストセラー本で学んだ私の学びは偏りがあるかもしれませんが、「まずは何を何のために学びたいのか」を明確にして「時間の力を借りつつ時折振り返る」ことが重要なことだと思いました。
あとは、一から生み出そうとしないこと!
人生日々成長です!