説得する相手のコミュニケーションスタイルをまねると説得できる確率が増える?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ
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相手を知っていれば説得しやすいのはその人のコミュニケーションスタイルをまねることができるから?
私たちは仕事やプライベートのいろいろな場面で相手から同意を得たり、説得しなければならない機会があります。
その人のことを知っていれば知るほど、同意を得やすいというのは通常ですよね(逆に毎回相性が合わない人もいなくもありませんが。。😅)。
その理由は、その人と関係性があるからではなく、関係性があることで相手のコミュニケーションスタイルを知り、そのコミュニケーションをまねているからだという興味深い記事をハーバードビジネスレビュー(HBR)で見つけましたので、今回はこの記事をご紹介したいと思います。
記事のタイトルは”Want to Win Someone Over? Talk like They Do. (説得したい人がいますか?それなら、その人のように話しなさい)”です。
*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。
この結果に至るため筆者の調査グループが用いたのが特許訴訟です。
関係者へのインタビューや公にされている特許訴訟のデータなどを基に調査を行ったところ、事前にその裁判官を知っていた弁護団は、裁判官のコミュニケーションスタイルをより反映して討論を行っており、その結果として勝訴する確率が高いということがわかりました。
この結果は、裁判官との関係性による影響を取り除いて行ったものだということですから驚きですね。
また、1800もの法的書類をAIの文書診断により、裁判官・弁護士のコミュニケーションスタイルを4つに分けて調査したところ、裁判官のコミュニケーションスタイルを反映した弁護士は明らかに勝訴率が高いという結果になりました。
4つのコミュニケーションスタイル
筆者が調査で使った4つのコミュニケーションスタイルは以下のようになります。
Analytical Thinking(分析思考):フォーマルで、論理的で、順序だった思考が反映されているコミュニケーションが好まれる。逆に、インフォーマルなスタイルで、個人が反映される、もしくは物語風なコミュニケーションスタイルは評価が低くなる。
Clout(影響力):専門性や自信がみられるコミュニケーションを好む。謙遜や不安的な要素が多いと評価が低くなる。
Authenticity(正直さ):正直で、その人の個性が反映されたりオープンな印象を受けるコミュニケーションを好む。一方形式ばって相手を寄せ付けないコミュニケーションだと評価が低くなります。
Emotional Content(感情型):ポジティブで気持ちが上がるようなコミュニケーションを好む。一方、懸念点や不安、ネガティブなトーンはあまり評価されない。
皆さんはどれに当てはまりますか?私は仕事・プライベートでも分析思考が強いかなと思いつつ、プライベートではより正直さも重要視している感じがします。
この調査結果の活用方法
まず自分が説得したい相手のコミュニケーションスタイルに注意を払い、上記の4つのうちどれに当てはまるかということを知るということから始めるといいかもしれません。その際、筆者はコミュニケーションスタイルだけでなくどのようなツールがいいのか(例:メール、プレゼンテーション、話し合い)、事前の資料共有を好むのかということも抑えておくといいということです。
また、筆者は、相手のコミュニケーションスタイルを知るために、できるなら相手と関係性をきちんと持っておく(build genuine relationships)ということをお勧めしています。コミュニケーションスタイルを知るために関係性を築くという通常と逆の因果関係が面白いですね。
相手から同意を得る・説得させるためのハウツーはいろいろありますが、なんといっても土台は「相手を知ること」。4つのコミュニケーションスタイルを意識しながら、周囲の人を観察し、自分の意見が通りやすい方向に持っていけるといいですね!