パフォーマンスの分布は釣り鐘型ではなくロングテール型?
パフォーマンスと評価の分布が一致しない?
会社でパフォーマンスが高い人、平均的な人、低い人はそれぞれどれくらいの割合でいるのでしょうか?
私の頭の中では勝手に「平均的な人は一番多くて、高い人は少数、低い人も少数かな」みたいなイメージがありました。
いわゆる統計学的に言うと「正規分布(下のような釣り鐘型)」です。
多くの企業では人事評価には5段階、もしくは3段階や7段階といった奇数で真ん中の数字の評価が多く、平均から数字が大きい・小さくなればなるほど少なくなるという評価なのではないでしょうか?
実は、パフォーマンスの分布は正規分布ではなく、「ロングテール型」であるという調査結果をまとめた記事を見つけて衝撃を受けました。
Forbes.comというアメリカの有名な経済雑誌の「フォーブス」のサイトに掲載され、誰でも無料に読めますので、英語ですが是非読んでみてください。
ロングテール型というのは以下のような形です。(自作なので見にくくてすみません。。)
ロングテールは、マーケティングでよく使われていますが、パフォーマンスに当てはめると以下のような感じです。
- 非常に優秀な少数のトップパフォーマー(パフォーマンスの高い人)がいる。
- 平均亭なパフォーマンスの人は非常に多くて、その中でも幅がある。
- パフォーマンスの低い人は非常に少数。
欧米トップ企業が評価をなくした理由はここにあった
もちろん、すべての企業・職業がロングテール型かというとそうではありません。
伝統的な製造業や身体を駆使するサービス業ではパフォーマンスの差にそこまでの差は出せないでしょう。
一方、クリエイティビティや画期的なイノベーションを起こすことが必要な分野においては、一部の優秀な人のアイデアやそれを実現する力がビジネスの成功に大きく左右します。
いわゆる芸術家やスポーツ選手、音楽家の間では一部の天才がいるのと同じような分布になるというのですね。
現在のデジタルトランスフォーメーションが主流の市場で日本企業が勝てないのは、そうしたトップパフォーマーたちを見出し、うまく活用することができないからかもしれませんね。
この考え方を企業が採用し、評価するようになるとトップパフォーマーだけでなく、”平均パフォーマー”についても朗報です。
何故ならパフォーマンスの低い人は非常に少なく、比較的多くの高いパフォーマー(グラフの右側)がいるとなると、企業は”評価の低い人”を見つけ出そうとするのではなく、どうしたらみんながハイパフォーマーになるかという視点をもって、チームワークや人材育成に注力する結果になりうるかもしれないからです。
以前ブログで紹介した”ハーバードの個性学入門”で紹介した平均という思考を捨て個々人を重要視するという考えに通じますね。
また評価を受け取るというのは、私たちの脳を”恐怖心に陥れるか戦闘モード”にし、業績評価というのはパフォーマンスを低下させるというという調査結果もあります。
欧米トップ企業(マイクロソフト、IBM、アクセンチュア、GEなど)は年間の業績評価をやめているのもこういう背景があるのかもしれませんね。
分析を行うにあたっては要注意?
ピープルアナリティクスの分析では、パフォーマンスに影響する要素は何かということを調べるのは一大テーマとなります。
今改めて統計学をおさらいしていますが多くの分析手法は正規分布に従うということを前提になっています。
いまAIHRの "HR statistics"をオンライン受講中ですが以下の通り主な分析手法は正規分布であることが前提。
- Tテスト(2つのグループ間における平均の違いの有意性を調べる)
- 単回帰分析(1変数を1変数で分析)
- 重回帰分析(複数変数で1変数を分析)
どのように分析するのがいいのか、統計初心者の私には謎が深まるばかりです。。