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業務改善の効果は短命?:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

皆さんの会社では、業務改善(process improvement)のプロジェクトやキャンペーンが行われていますか?

 

コストに対する考え方が年々厳しくなる中、業務改善をしなくていいという会社はごく少数なのではないでしょうか?ただ、その結果本当に効率的になったのかというと、調査の結果、長期的に見ると効果的ではないケースが多いという記事をHBR(ハーバードビジネスレビュー)で見つけました。タイトルは”Making Process Improvement Stick (業務改善は滞る)”です。なぜかリンクのタイトルとは異なりますがご了承ください。

 

hbr.org

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この調査では、14カ国に2000支店以上を有するヨーロッパの銀行での204のLean Projectを行った結果をもとにしています。ちなみにLean Projectとは業務改善を目的とした一種のプロジェクトの手法のことを指すようです。(注: Leanとは手元の”Oxford Wordpower"では、”thin and in good health"と定義されています。スリムだけど健康ということで無駄がないということですね)。

 

このプロジェクトでは6か月ごとに33から51のプロジェクトが立ち上がり、最初1年~2年の結果はよかったようです。

 The gains rose to 20% after a year and 31% after two years. 

この数字(最初の1年で20%、2年後で31%の効果)Lean Projectとしてはトップレベルのパフォーマンスで銀行は当初非常に喜んでいたそうです。

 しかし、さらに詳しい結果を見てみると、1)21%のプロジェクトは結果的に効果はなく、2)効果があったものも1年後には79%、2年後には44%しかベースライン(注:おそらくプロジェクト前の状況を指すものと思われます)を超えることができなかったということです。ということで最初から効果がなかったもの及び効果が一時的なものを考えると、2年後効果があったものは3分の1強あったかということです。

以下原文

When the researchers looked more closely, they found a more complicated picture. Despite the impressive aggregate gains, 21% of projects failed to yield any improvements. And among the 79% that showed initial improvements, many regressed: Only 73% were still producing results above baseline after a year, and after two years the number fell to 44%. Adding up the projects that had no improvements and the ones for which improvements were temporary, only slightly more than one-third of projects held on to gains after two years.

 

「3分の1強成功すればいいのでは?」とも思うのですが、問題なのは、改善の継続(continuous improvement)が止まってしまうということだというのです。そして、その要因が、幹部層からの眼に見えるサポート(Visible support from board members and senior leadership)がなくなることが大きいうところです。実際に、このプロジェクトに参加した人たちのインタビューでの意見だけでなく、強いリーダーのサポートがあったプロジェクトはないものよりも1年後の効果35%も大きいという結果が出ました。また本社主導のプロジェクトの79%が効果をベースラインより上回っているのに対し、そうでないものは61%にとどまったという結果になりました。

Projects with strong support from the head office showed 35% greater improvement after a year than ones without that support; they were also less likely to backslide, with 79% performing above baseline after a year, compared with 61% of projects not driven by the head office.

 

自分の経験上でもそうですが、プロジェクトは立ち上げた時には大々的に人もサポートも得られたりしますが、長期化するに従いなぜそのプロジェクトを行っているのか、ひどい場合にはそのプロジェクトが進行しているのか終わっているのかさえも分からないことがあります。業務改善のような目的がはっきりとしたプロジェクトにおいてはとりわけきちんと目標を定め、リーダーから必要なサポートを得ることが重要ですね。

 

私の会社は暦年が会計年度なのでこれから来年のプロジェクトなどを考えていきます。その際には、必要なサポートを上から得るとともに、辞めないといけないプロジェクトがないかどうかをしっかり見極めていく必要があると思いました。

 

また来年も頑張るぞ!