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データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

人事分析の有効活用②:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

人事分析の有効活用①」の続きです。

 

前のブログでは、HBR(ハーバードビジネスレビュー)の記事で、People Analytics(人事分析)を個人の属性ではなく、人間同士の関係性に基づいて分析することで組織のパフォーマンスとの結びつきを見るというアプローチについて紹介しました。

 

では、実際にパフォーマンスに影響する関係性とはどういうものがあるか、筆者自身の分析やコンサルティング、他の学者さんが行った分析から6つのものを上げています。

 

  1. Ideation(individual): Predicts which employees will come up with good ideas. (イデアの創出(個人単位):どの社員が良いアイデアを生み出すかの予測)
  2. Infulence(individual): Predicts which employees will change others' behavior. (影響力(個人単位):どの社員が他者の行動を変えうるかの予測)
  3. Efficiency(team):Predicts which teams will complete projects on time.(効率性(チーム単位):どのチームがプロジェクトを期限通りに終わらせるかの予測)
  4. Innovation(team):Predicts which teams will innovate effiectively(イノベーション(チーム単位):どのチームが効果的にイノベーションを起こすかの予測)
  5. Silos(organization): Predicts whether an organization is siloed.(サイロ(縦割り)(組織):組織が縦割り化しているかの予測)
  6. Vulnerability (organization): Predicts which employees the organizaiton cannot afford to lose. (脆弱性(組織):失ってはいけない社員はだれかの予測)

それぞれについては、調査の結果予測するための指標が書かれていましたが、どれもなかなか面白かったです。

 

例えば3の「Efficiency(効率性)」については、予測に適した2つの要素(Variables)があることを発見し、それは①internal density, the amount of interaction and interconnectedness among team members (チーム内でのコミュニケーションの綿密さ)と②range of team member's contacts; on a team that has high external range, each member can reach outside of the team to experts who are distinct from the contact of other members. (チームメンバーのコンタクトの幅:各々のメンバーが、違う幅の外部の専門家とのコンタクトを持つ)の2つのだというのです。直感的にもチーム内のコミュニケーションが密であり、かつ外部から様々な意見を取り入れられるというのは、効率的だろうなというのは思いますよね。

 

あとは、5のSilos(縦割り組織)の予測する要素でしょうか。ちなみにSiloという言葉は、外資系でも大企業で組織の風通しがよくない組織を皮肉って言うためによく使われる言葉ですが、ことだそうです。

この記事では”When ratio of internal to external communication is greater than 5:1, the group is detrimentally siloed(組織内部のコミュニケーションが、外部のコミュニケーションとの比率において5:1以上であるとき悪影響が出るほど縦割り組織である)." ということで、内部コミュニケーションが多く、風通しが悪いほど内向きになりがちということですね。

 

こういう分析を行うには、メールやチャット、ファイル転送の動きなどもともとあるデータでそれほど難しいデータ分析テクニックを使わなくてもできるということですが、問題になるのはプライバシーをどう取り扱うか、ということです。いくら仕事とはいえ、自分のメールやチャットのやり取りを分析されるのは匿名でもいやでしょうし、6つの要素のいくつかは個人の特定にもつながりますので、さらに抵抗感があるかもしれません。そのために、社員にどのようにデータを使うかをきちんと説明する必要があるということです。

 

自分の会社でいつこのようなことができるかわかりませんが、できたら面白いだろうなとは思います😄(案外遠い日ではないかも。。)