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「部下に対する要求が厳しいかも」と思った時の対策:ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事から学ぶ

 

35%の経営層が完璧主義で失敗している

  • もしあなたが部下を持っている場合、部下への要求は適切なレベルでしょうか?

 

今年5月に制定されたパワハラ防止法により、この問いを常にすることは今後ますます重要になってくると思います。

 

厚生労働省が定義したパワハラの6分類のうち、「過大な要求」というのがそのうちの1つであり、今までの国の機関への相談件数でも「精神的な攻撃」に加え2番目に多い件数となっています(以下のリンクの「4どんなパワハラがあるか」を見てください。ほかのデータも面白いですよ)。

www.no-pawahara.mhlw.go.jp

パワハラまで行かなくても、上司が部下への要求が厳しすぎるのは組織にとってもそのリーダーにとってもいいことではありません。

実際10カ国350人の経営者層に対する調査によると、35%は完璧主義で決して満足することがないために失敗しているというのです

 

では、自分が部下に対する要求が適切か、過剰な要求を行わないためにはどうすればいいのかについてのヒントを与えてくれる記事をハーバードビジネスレビュー(HBR)で見つけましたのでご紹介したいと思います。

 

タイトルは"Are Your High Expectations Hurting Your Team(あなたの高い要求はチームを傷つけていないですか?)”です。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

筆者はこのような傾向がある場合には自分の要求がマイナスの効果になっているかもしれないことを疑うべきだといっています。

  • 自分自身に失望している(Disappoint  in your self):よくあることは上司の求める要求が高すぎ、自分自身にも満足をしていないということです。もし自分自身ができていない、だめだと嘆いている場合は、部下にも高い要求を押し付けている場合が多いです。

 

  • 他人に自信を無くさせている(Loss of self-confidence in others)要求が高すぎると部下は自信をなくし、最悪の場合は何もやらないほうが一番安全と思ってしまいます。もしそのような傾向がみられるのであれば高い要求がかえってチームのパフォーマンスを低下させてしまいます。

 

  • 組織の回復力が低い(Little organizational resilience):いつも批判的なことばかり言われるチームは、何か困難なことがあった際に立ち直れないようになります。すでに自分達は精いっぱいやっていると思っているのさらに何か問題が起きるとこれ以上何かができると思わなくなります。

 

要求が厳しいと思った時にやってみること

では上記のようなチーム全体のパフォーマンスを阻害する傾向がみられたときにどうすればいいのでしょうか。筆者は上司ができることは4つあると述べています。

  • 自分の不満足を抑えることを学ぶ(Learn to harness your discontent):不満足であることが悪いことではないのですが選択する(selective)ということが重要です。部下が少し頑張れた達成できるという水準を設定し、達成することができれば、部下もあなたの要求水準は無茶ではないということがわかります。

 

  • 自分から見た部下の素晴らしい価値をきちんと伝える(Never let others question their value in your view)上司が思っているほど部下には上司の感謝の気持ちが伝わっていません。きちんと部下の貢献や特別なところを伝えましょう。そのためには部下がそれぞれどのような点に優れているかをきちんと知っておく必要があります。

 

  • 自分の要求レベルや要求を設定した時期を検証する(Examine how and when you set standars):完璧主義者のリーダーは要求に達していないときにはじめて「高い要求」を部下に言ったりするものです。まず、自分の期待値とのギャップがあった場合には一間おき、その部下が自分の期待値を理解していたかを考えましょう。自分の要求レベル(高すぎず、現実的でかつ公正な)を適切な時期に言っておくことが重要です。

 

  • 自分の良さをきちんと認める(Embrace your own goodness):傾向の最初にも書いてある通り自分への要求が高すぎると他人にも高い要求をしがちになります。ですので自分の要求を緩めることも部下を許すことにつながります。自分がどういうときに要求が高くなるのか、自信を無くすのかを認識しましょう。自分を認められないことが思ったよりも大きな影響を与えているかもしれません。 

 

この記事を読んで

この記事を読んだとき、自分が人事として見聞きしたパワハラの原因とその対策がまとめられていると思ったので、是非紹介したいと思いました。

 

パワーハラスメントを起こす社員は極めて真面目で、完璧主義者が多くさらにコミュニケーションがうまくない人が多いです。「自分はここまでやったんだから部下もここまでやって当たり前」、「自分もそのように鍛えられてきた」、「これぐらいの要求は言わなくてもわかるだろう」などなどです。さらに、自分自身に対しては自信がなく、自分が言われるとすごく落ち込んでメンタルをやられたりもします。

 

これから社会の変化が目まぐるしくなる中、誰もが完璧主義ではいられません。自分にも周りの人にも適切なレベルでチャレンジできるような目標を設定し続け成長していきたいですね。

 

ちなみに私も完璧主義かつ人に要求が多くなりがちなので自分も戒めたいと思います😅