日々学び、感謝し、成長する

データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

部下からの相談にはすぐ同調してはいけない:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

自分に理解ができない相談事を持ちかけられたら?

 

会社で相談事を持ちかけられたとき、あなたはどのように反応しますか?

 

一番多いのは自分の経験に基づいたアドバイスを行うことだと思います。これが相談した人も期待していることでしょうし、その人にあった解決法だとすぐに問題が解決できます。

 

しかし、アドバイスを与え続けると、相手が部下や若手の場合相手の成長につながらないこともあります。自分が考えず他人から解決法を得ようとするからですね。

 

もう1点のアドバイスのリスクは相手の価値観と自分の価値観が違う場合です。

 

時折相談されても、何故これが悩み事になるのかわからないことがありませんか?逆に相談して受けたアドバイスも「私の状況とは合わないな。。」とか。

 

このため、解決法を与えるのではなく、自分で解決法を得られるよう促す手法として「コーチング」というものがあります。

 

欧米企業の部下やリーダーシップ育成にはよく取り入られている手法ですが、最近日本でもちらほら聞くようになりました。

 

私も会社でコーチングの手法を取り入れ、できるだけ自分で考えてもらうようなコミュニケーションを心がけていますが、これがなかなかうまくいきません😥。

 

ハーバードビジネスレビュー(HBR)で”Mentors, Stop Saying "I understand(メンターへ、”わかった”というのをやめなさい)" に「痛いところを突かれた!」といういいヒントをもらいましたのでこの記事を紹介したいと思います。

hbr.org

 

 *記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

上司は良かれと思っているけれども。。

この記事では、上司と部下の以下のような場面から始まります(緑部分がそのストーリーです)。

 

上司(50台の白人男性)と部下(30代のスペイン系の女性)が仕事に関する面談を行っている。面談の最後に部下が一緒に仕事をしている同僚が自分だけ飲み会に誘ってくれないという悩みを打ち明けた。

 

その時上司は会話を遮り以下のように答え、話題を変えてしまったのです。

”I understand what that’s like and I know how you feel. The best way foward is to ignore it and move on. (そうした状況にあるのはつらいだろうね。一番いいのは気にしないことだよ)"

 

日本語は少し意訳しましたが、これに似た場面は多かれ少なかれ皆さん経験されているんじゃないでしょうか?おそらく多くの女性の方は「この上司わかっていないな」と思われているのではないかと思います。

 

実際、この会話の部下はフラストレーションがたまり、全く上司が自分のことを理解してくれていないという風に感じました。一方上司はこの会議の後、部下の気持ちに気遣ったいい上司だと思っていたのです。

 

こうしたギャップは、自分と違う相手に対してどうコーチングをしていいかがわからないことが原因だと著者は言います。実際、自分と違う相手をコーチングをする際の対応についてはあいまいで、リーダーに対して質問をしたところ上記のようにとりあえず「わかったふりをする」とか、「自分の価値観を押し付けないようにする」、「自分がわかっていないことを意識するようにする」、「こういう前提だと決めつけない」というあいまいな回答が多いということです(英語で'try to'という表現が目立ちました)。

 

日々の上司と部下のやり取りは、部下のやる気やパフォーマンスに大きな影響を与えます。自分と異なる相手に対しては本当の意味で相手とつながったやり取りをすることが重要だといいます。

相談事を聞くときの3つのアドバイス

筆者は3つのアドバイスを上げています。

 

The Grandparent Rule(祖父母に接するように接する):これは、筆者の知人が影響力のある年上の人に接するする際のルールとして名付けたもので、注意深くしかも深い敬意をもって聞くということです。その際には、自分の前提を決めつけずひたすら聞く、そしてより深く聞くためにさらなる質問をするということが鍵だということです。

例えば同僚から飲み会に誘ってくれないケースについては以下のように訪ねてはどうかとアドバイスしています。

"Thank you for bringing this to me. I want to know more about what's going on before I respond. Can you give me an example of when this has happend recently?(話してくれてありがとう。私が返答する前にその状況をもっとよく知りたいんだけど、最近起こった例を話してくれるかな?)”

 

このように聞くことで上司は状況を理解することができ、また部下も上司が自分の悩みを気にかけてくれているという気持ちになります。

 

Over-relating is overrated(自分の状況にあてはめない):自分がどう答えていいかわからない時、沈黙になるのを避けたくて解決策に飛びがちになります。その際、自分の状況に当てはめて誤った前提の下で話すことで状況を悪化させてしまうことになるのです。

沈黙を避けるより自分がどのように感じているかを伝える、もしくは相手により考えてもらう時間を作るという方が効果的だといいます。

 

”I can't possibly imagine what your experiences here have been like, and I know in situations where I've been misunderstood I didn't like either. (あなたが経験したことを想像するのは不可能かもしれない。私も自分の状況を誤解されて嫌な気持ちになった経験もあるしね。。)”

この会話は上記の例での上司の返答方法の一例です。自分が相手の状況を理解できないことをはっきり認めてから、その後どういうサポートができるかを聞くというのです。

 

Just the facts (事実に集中する):相談事を受けた時には、まずは状況やニーズについての事実を集め、解決するのではなく助ける意思を示すということが効果的だといいます。

 

例えば上記の会話では以下のような回答例を示しています。

”You have helped me understand more about how all of this impacts you and I want to support you in any way I can. Would you be more comfortable continuing to check in on this to talk about some ways to approach the situation? (その状況がどのようにあなたに影響するのかの理解を助けてくれてありがとう。できる限りのサポートは惜しみませんよ。この件の解決方法のオプションについての話し合いを続けても大丈夫ですか?)”

 

会話の中では相手の方法について必ずしも同意する必要はないということです。相手の言うことを遮らずに聞く機会を与えることで最終的にはどのように進めていけばいいかという道が見つかるということです。

 

 

この記事を読んで

この記事を読んで、私の一番のチャレンジは1)相手の会話を聞くときに自分の価値観を通じて聞いてしまうこと、2)相手の価値観に対してアドバイスをすること だと気づきました。その背後にはどこかで「自分の価値観やアプローチが正しい」と思っていることだと思います。

 

自分と違う価値観の人に囲まれることが多くなる中、違和感はここにあるのだということがよくわかりました。すぐにできるとは思いませんが、相手を尊重できるよう上記のアドバイスを実践していこうと思います。

 

人生日々修行ですね!