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テレワーク中の社員の’精神的な’健康をケアする:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

コロナ禍での状況では不安やストレスが増大する

先日、テレワークでどのようにモチベーションを維持するかという記事を紹介しました。

millebon.hatenablog.com

この記事ではモチベーション低下の主要因の1つとして「精神的なプレッシャー」を上げていました。

 

実際世界全体で、コロナ禍における従業員の精神的ストレスは増大しています。

 

Qualtrics(調査関係のプラットフォームを提供)及びSAP(グローバルソフトウェア会社)が今年の3月4月に7か国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドシンガポール)で2,000人の従業員に行った調査では以下のような結果が出ています。

 

コロナ禍以前と比べて

  • 75%の回答者が社会的により孤立感を感じている
  • 67%がより高いストレスを感じている
  • 57%がより大きな不安感を感じている。
  • 53%が精神的により大きな疲労感を感じている。

www.qualtrics.com

 

さて、こうした精神的な不安定な状況の中で会社はどのように社員の精神的なケアをするべきなのでしょうか?

 

そのヒントをHBR(ハーバードビジネスレビュー)の記事を見つけましたので、今回はこの記事をご紹介したいと思います。

 

タイトルは”How CEOs Can Support Employee Mental Health in a Crisis(CEOは危機的状況において社員の精神的な健康をどのようにサポートすべきか)”です。

 

hbr.org

 

この記事によると人は変化への対処はできるが不確実な状況においてはうまく対処できないということ。

 

タイトルはCEO向けになっていますがCEOでなくても部下を持っているもしくはどこかの所属の長やリーダーの人にも参考になる内容が含まれています。

  

精神的なケアのために会社ができることとは?

筆者は会社や上司がすぐにできることとして5つのことを上げています。

 

1.社員の調子を聞く(Open the Door)

 上記の調査に回答した40%の社員は会社から自身の健康状態について何ら尋ねられていません。また尋ねられていないグループでは、コロナ禍による精神的な状況が悪化したと答える割合が4割近く高いというのです。

 

健康状態について聞くというのはプライバシーの問題もあり避けた方がいいと思うリーダーも多いかもしれませんが、回答者の6割は聞かれることに問題がなく、4割は上司から聞いてほしいと回答しています。ですので、社員の調子を何気なく聞き、どこまで話すのかは部下に任せることをお勧めしています。

 

2.部下の話をきちんと聞く(Demonstrate Supportive Listening)

精神的な健康状態について話したい部下については、聞き役に徹し相手が理解された聞いてもらったという気持ちになることが重要だといいます。また、自分の今の状況も素直に吐露することで、部下も自分だけでなくそれぞれいろいろなチャレンジがあることに気づくことができます。

 

3.継続する(Be consistent)

対話やコミュニケーションは1度だけでなく、できる限り頻繁にかつ同じような調子で継続することが重要だということです。調査によると90%の回答者は少なくとも週1回は会社からコミュニケーションが欲しいと考えており、特に上司から電話でのコミュニケーションを望んでいます。

会社からのコミュニケーションにより精神的な状況の悪化度合いも違っているという調査結果が出ています。特にテレワークでリモートで勤務しているからこそ継続的にコミュニケーションをすることは重要なのですね。

 

4.社員の意識調査を継続的に行う(Keep a Constant Pulse)

社員・組織全体がどのような状況にあることを理解するために継続的に意識調査を行うことをすすめています。調査によると3分の1の社員がテレワーク中仕事に関係のないカジュアルチャットがないと答えています。調査により組織の状態がどうあるかを把握し、その状況に応じてできるだけ早く行動をとることをすすめています。

 

5.サポート機関を案内する(Communicate Available Resources)

精神的な不調が起こった時にどのような相談機関やサポートがあるかをきちんと伝えるということです。調査ではほぼ半数が自分の会社がそのような情報を積極的に提供していないということですが、そういう情報を提供している会社の社員は、会社が健康について留意をしてくれていると考える率が60%も高いという結果が出ています。

この記事を読んで

コロナ禍でビジネスの状況が刻々と変わる中、「どのようにまわすか」に焦点が置かれがちで社員に対するケアが後回しになりがちになっても不思議ではありません。

 

重要なのは「一人一人がいろいろなチャレンジを抱えているのだ」ということを認識しておくことかもしれませんね。特に日本人は自分の感情を積極的に伝えることをためらう人が多いと思います。だからこそマネジメント層や上司がより意図的にケアをすることが重要なのだろうと思います。

 

私も来週からケアを重視してチームメンバーの話を聞くようにしたいと思います!