若手の社員を育てるコーチング方法:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ
若手社員が身に着けるべき4つのスキル
仕事をやっていて一番面白くかつ難しいのは人材育成です。
部下を持つようになって数年がたちますが、いつも彼らがどうやったら成長できるかを考え、試行錯誤しています。
でも思うようにいかないことが多く、自分一人で仕事やってる方が楽だなと思うこともしばしば🙄。コーチング力のなさに悩むことも多いです。
そんな中、ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事でコーチングの基本を思い出させてくれる記事に出会ったので紹介したいと思います。
タイトルは”To Coach Junior Employees, Start with 4 conversations. (若手社員のコーチングは4つの会話から始めよ)” です。
*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。
この記事は筆者と同僚が、若手が必要とするガイダンスは何かを明らかにするため、10万件以上ものコーチングの会話のデータが基となっています。
その結果、若手が必要としているスキルは以下の4つの分野だというのです。
- 回復力(How to build resilience):プロジェクトの失敗、プレゼンでうまくいかなかったという挫折を乗り切る力
- 他者への影響力(How to build resilience):他者から信頼を勝ち取り効率的に役割を果たすことができる能力
- キャリアパスの基礎(How to job craft):何が自分にとって意味のある仕事かを理解し、やりがいを感じられるキャリアを構築していく力
- ワンパターン思考からの脱却(How to break out of a mental rut):自分の思考パターンに安住せず、違う視点で問題を見て解決する力
これらのスキルは、どんな仕事をしていても重要なことですよね。個人的な経験では何十年働いてもこうした課題を解決できていない人々は多いような気がします(私も含めてですが😅)。
それぞれのスキルに対するアプローチは異なる
この記事では、この4つのパターンについてどのように会話を行い、その若手が自分で解を見つけるかを具体的な会話例などを用いて紹介しています。
例えば、「ワンパターン思考からの脱却」では、同じ思考を繰り返していることを気づかせ、新しい道を模索することを手助けすることが大事になります。
そのためには
- どの問題を解決しようとしているのか(What problems are you trying to solve?)
- その課題に対してどのように感じているのか(What feelings do you notice about it?)
- 一番の懸念点は何か(What are you most concerned about?)
- ほかの人が抱えている不満はどこにあるように見えるか(What do you observe other people feeling frustrated about?)
というような問いから始め、何を解決しようとしどこが上手くいっていないかを気づかせるようにするといいということです。ときには、相手が答えた内容をおうむ返しすることで、答えた内容を客観的に考えさせる。そして、自分の計画していることが上手くいかないと気づいたら、集めた情報から代替的な解決案を見出すように促すことで違う考えをできるようにするということを提案しています。
どの問題にしても重要なのは相手に考えさせるということ。コーチングの役割は解決方法を提供することではなく、相手が解決できるように導く会話を行うことなのです。
自分で解決方法を見出させる:言うは易しですが、行うは難しです。特に上司部下の場合、上司が解決策を与えてくれるものだと思っている部下も多いですし(私も昔はそうでした)、上司としてもその方が早いのでつい答えを出してしまったりしますよね。
でもそれでは部下や若手の育成は難しいのです。この記事の会話例を参考にして、相手に解決策を見出せるような辛抱強いコーチング力を身に着けたいものです。
記事から学ぶ役に立つビジネス英語
- setbacks(挫折/失敗): 今回の記事では4つのスキルのうちの回復力の説明として"the ability to bounce back from setbacks (挫折から立ち直る力)”という表現で使われています。bounce back という表現とともに覚えておくといいかもしれませんね。
- execute a role(役割を果たす):”execute”というと仕事や役割をしっかりこなしているという響きがあります。”execute”の名詞である”execution”もよくつかわれ”execution excellence"というと「実行力が素晴らしい」という意味で、よく日本人の強みや誉め言葉として使われます。
- rut(ワンパターン): rutは轍(車輪の跡)という意味もあり、そこから同じような形跡がずっと続くのでこのような意味になったのでしょうか。”in a rut"というと「マンネリ化した、ワンパターンな」という意味になります。