AIを同僚にして生産性を向上させる:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ
AIにより仕事が奪われるというけれども。。
コロナ禍の前、AIが仕事を奪うというような記事が雑誌や新聞に多く掲載されていました。
オックスフォード大学の研究が世界的に有名ですが、日本でも野村総合研究所が2015年に10年~20年後には日本の労働人口がついている49%の職業が、人工知能やロボット等で代替可能という結果を発表していましたね。
以下のサイトがよくまとめてあるのでご参考にしてください。
日本に限らず、世界全体でもAIは生産性を向上させるツールとして肯定的な意見がある一方で自分たちの仕事を奪うのではないかという「恐怖」と表裏一体になっています。
そうしたAIをうまく活用するためにはどうすればいいかについて興味深い記事がハーバードビジネスレビュー(HBR)にありましたので今回これをご紹介したいと思います。
タイトルは”A Better Way to Onboard AI (AIをうまく取り入れるためのより良い方法)”です。
*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。
ちなみにOnboardという言葉は、メンバーが新しく入ってきたときにその組織になじむというような意味を指します。
外資系では入社時のトレーニングをOnboarding Trainingというような言い方をします。
ここでいうOnboard AIもまさにそれと同等の意味でAIがその力を発揮するためには、新しく入ったチームメンバーのようにその組織の一員としてなじむためのプロセスが必要だと筆者は言っています。
AIをうまく活用するための4つのプロセス
では具体的にはどのようなプロセスなのでしょうか。
ステップ1:アシスタントとして訓練する
最初のステップはAIにアシスタントが行うような仕事を教えて、AIにやってもらうことです。このステップではAIが得意なデータの抽出や、実際に人間がやっている仕事を見て同じようにやることを学んだりします。
例えば航空会社が各フライトにどれだけの飲食物を入れるかは担当者の勘に任せて決められたりしています。その一つ一つをAIがみてそのパターンを覚えるというものです。
ステップ2:監視役を行う
ステップ1でパターンを覚えたAIが人間の作業を中止し、何か通常パターンと異なった際にフラグを出すというのがこのステップです。
人間は常に同じ精度で物事に取り組むことができません。アメリカの研究では、昼食後よりも前の方が政治的亡命を認める割合が高かったり、自分の好きなアメフトのチームが勝った翌日は負けた時よりも刑が軽くなっているという結果が出ています。疲れを知らないAIの特性を生かして、判断の質を向上させることが目的になります。
ステップ3:コーチとして使う
仕事のパフォーマンスの向上のためにフィードバックは効率的なツールです。それを多くのデータを集めることができるAIに過去の行動からフィードバックをしてもらうステップがこの段階になります。
実際、金融機関ではこの手法を取り入れ、ファンドマネージャーの投資決定のプロセスに関するフィードバックを提供しています。
ただし、このフィードバックを取り入れるかどうかはマネージャーに任されていますし、フィードバックがおかしいと思えばAIのアルゴリズムの変更を申し出ることもできます。こうすることでAIを使うことへの抵抗感が現場にもなくなるということですね。
ステップ4:チームメイトとして働く
そして最後のプロセスがチームメートとしてAIが機能するということです。AIだけに単独で仕事をさせるのではなく「チームメート」として機能するというところが肝だと思います。
AIが恐れられている主な要因はAIがどのように機能しているかがわからないというところです。AIが出した答えがなぜそうなるのかわからない、ましてやそれが自分の勘と合わない場合にはその判断を信用することができません。実際AIが機能するためにはいかに透明性を高められるかがキーとなるということです。
この記事を読んで
コロナ禍で露呈されたのは、とりわけ官公庁の生産性の低さではないでしょうか。PCR検査の報告もファックスで行っていたと聞いて唖然としたのですが、そういう最中にこの記事を読んで、AIをうまく活用すれば無駄な疲弊を防いでよりよい社会の仕組みが作れるのではないかと思いました。
一方で、単なる事務作業やインプットだけを行う作業はAIに置き換えられていくことを考えると、自分のスキルをいかに高めていくかも重要になっていきます。常に自分をアップデートしていくことが重要なんですね。