日々学び、感謝し、成長する

データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

AI時代の新しい学び方は苦労が多い?:ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事から学ぶ

 

70-20-10の70がにAI化の波が。。

 

人材育成における「70-20-10の法則」を聞かれたことがありますか?

 

これは人が成長するにおいて学び方の最適な割合を指します。過去の人材育成・リーダーシップ開発から70%が経験(Experience)、20%が他人からのフィードバックやコーチング(Feedback and Coaching from Others)、10%が研修(Training)が適切だとよく言われています。

 

細かい数字はさておき、仕事を通じての学び(よくOJT(On the Job Training)といわれています)が一番重要だというのは多くの人が頷くのではないでしょうか?

 

ただし、今このOJTがAIやロボティクス技術の進展によって脅かされており、違う学び方が必要だという記事をハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事で見つけましたので今回は紹介をしたいと思います。

 

タイトルは"Learning to Work with Intelligent Machines (インテリジェント機械と協働するための学び方)”です。

 hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。 

 

この記事ではAIやインテリジェント機械の導入が進んでいる手術医(ロボット機械を用いて手術をすすめます)、大量の財務分析にAIを導入している投資銀行、犯罪予防のためのAI導入を行っている警察などを例にして、AIや高度なロボット機械の導入が人及び組織の学びを変えていくかということを紹介しています。

 

AIにより働くプロセスが変わるとOJTが難しくなる?

そもそもAIや高度なロボット機械の導入により何故OJTが難しくなるのでしょうか?筆者は4つの要素をあげています。

 

  1. 学び手が現場で学べる機会が失われつつある(Trainees  are being moved away from their "learning edge"):従来OJTは経験者の仕事を見て、実践して時には失敗しながら仕事を覚えていくというのが普通でしたが、AIの導入により必要なデータは機械が提供してくれるため実体験を積むということが少なくなってきます。企業としても若手の育成に時間をかけるよりも経験者がAIのデータを使って分析する方が”短期的”には効率的になります
  2. 専門家が実際の仕事から離れた位置にいる(Experts are being distanced from their work):例えば医者がロボットを使って手術を行うとき、自分の手は患者から離れていますし、実際ロボットがどのように手術をしているかは自分ではわかりません。また仕事がどんどん細分化され、AIのシステムを作るためのデータの入力は外国にいる第三者に委託していることもしばしば起こります。このように現場の接点や全体を見る機会が失われることで経験から得られる学びが減っているというのです。
  3. 新旧両方の方法を学ぶことを求められている(Learners are expected to master both old and new methods):とはいうものの、すべてがAIや高度な機械との協働で仕事が進むわけではなく多くの場合は古いやり方と新しいやり方が混在しています。例えば大学教授はオンライン授業のコンテンツの作成とともに、従来の授業も行わなければなりません。その分、負荷が大きくなっているのです。
  4. 一般的な学び方が効果的だと信じられている(Standard learning methods are presumed to be effective):新しいツールによる仕事の習得方法は今までも違ってしかるべきなのに、旧来のやり方が非効率でもそのまま続けていることが多いといいます。警察の犯罪予測においても、今まで「刑事の経験」がものを言っていた状況を否定することはとても難しく、かといって情報が機械に入らなければ新しい技術が正しく機能しないという状況になります。

影での学び(Shadow Learning)により新しい学びを得る

以上のような状況の中、新しいツールを効果的に学ぼうという人は人知れず学びを行っているというのです。それを筆者は影での学び(Shadow Learning)  と呼んでいます。

 

そういう人たちは、新しいことをもがきながら学んだり、あえて現場でのノウハウを学びに行ったり、既存の役割を変更したり、学びを共有したり、あえてリスクを取って新しい効率的な学びを模索しているというのです。

 

このような新しい学びを自ら模索している人たちを効果的に支援する組織体制がなければ、あえて挑戦している人たちが損をする、または模索をしていても効果が出ないという事態に陥りかねません。筆者は新しい学びを支援する組織体制やコーチングなどの体制がこれから進むAI化に向けて組織の学習力をつけていくことが重要だといっています。

この記事を読んで

現在起こっているAI化や高度なロボット技術に限らず、これまでに数多くの変革を経験しそのたびに違う学び方を模索してきたはずです。そしてそうした学びは100年前の社会学者のロバートマートン(Robert Merton)が示したのは、従来のやり方が目的に合わない時には、逸脱した方法(Deviance)が結果を出してきたというのです。

 

学び方に限らず、今の方法が常にベストではないと認識し、そうでないと感じた時には新しい方法をとる挑戦を取ることを楽しめる人になりたいですね。

 

また、そういう人がいる場合、挑戦をサポートできる環境づくりをしていきたいものです。