中国企業がコロナ禍から学んだことは?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ
中国企業が学んだコロナ禍での11の教訓
緊急事態宣言も解除されひとまずは落ち着いた日本。
少なくとも私が住む大阪では以前の賑わいを取り戻していますね(少しだけ控えめ?)。
コロナウィルスの発生源となった中国では一足先に(一次的?)危機を脱した状況です。
中国企業はこのコロナ禍で何を学び、どう変わったのでしょうかー:ハーバードビジネスレビュー(HBR)で中国企業の経営者に対し20人のインタビューや350人へのアンケートの結果をまとめた記事を見つけましたのでご紹介したいと思います。
タイトルは"Lessons from Chinese Companies' Response to Covid-19 (コロナウィルスに対する中国企業の対応から学ぶ)”です。
*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。
この調査結果として筆者は諸外国にも役に立つ教訓を11にまとめています。
- Be transparent about your challenges (企業の課題をはっきりと伝える)
- Adopt new modes of communication(新しいコミュニケーション手法をとる)
- Accelerate digital transformation(デジタルトランスフォメーションを加速する)
- Re-organize to enhance decision making(意思決定を向上させるために組織を改編する)
- Find new ways to collaborate(新しい協働方法を模索する)
- Formalize and enable remote work(リモートワークを制度化し実現する)
- Support lifelog learning at scale(継続的な学びを大規模で支援する)
- Rethink how you evaluate employee performance(社員の業績方法を再考する)
- Identify volunteer opportunities(社員の自発的な意思に基づく活動を見つける)
- Help your employees build resilience(社員の忍耐力・持久力を高める)
- Foster a more connected organization(団結力のある組織にする)
太字で書いたものが私が特に興味を引いたものです。リモートワークによってデジタルやコミュニケーションの変化はやむを得ないところなのですが、それが組織や業績の評価方法を変化にまで及ぶというのです。
またこういった危機的状況で見せた社員が「やりたいこと」に対する意外な力も発見できた会社もありました。
中間管理職は必要なくなる?
まず「4:Re-organize to enhance decision making(意思決定を向上させるために組織を改編する)」ですが、デジタルの活用により中国組織が「ピラミッド」型から「ダンベル型」に変わったといいます。
このからくりは
- まずコロナ禍でデジタル化が進む=>いくつかのルーティン業務が自動化される=>上位管理職がデジタルツールやデータで現場の社員を指揮する一方、現場の社員には依然より大きな権限が与えられる
というものです。
また、コロナ禍では今までと異なる対応を即座に取ることが求められるため、「どの管理職がルーチンワークで忙しくしていてどのリーダーが変化に対応できるか」をつぶさに見ることができるきっかけとなったと答えています。上記のような上位管理職と現場の社員の距離が近くなるに伴い、ルーチンではなく変化に対応できる素質を持ったリーダーの重要性が高まり「8:Rethink how you evaluate employee performance(社員の業績方法を再考する」につながります。
今まで会社に行って、承認のハンコを押していた管理職はいらないということですね。
別の角度で中国企業のリーダが気づいたのが「社員自らの意思にに基づいた取り組みへのモチベーションやオーナーシップの高さ」です。
あるファーストフードチェーンの企業では武漢の店を医療従事者のために数店だけ開けることを決めました。リスクが高いためそこでの勤務はボランティアで募ることにしたのですが通知をして2時間で900人ものスタッフが手を挙げたというのです。
またいくつかの企業ではTikTokなどを使って若い世代が自発的に企業の社会貢献活動をビデオに挙げたりすることで企業イメージを高めるということにも一役買いました。
こうした活動を通じて社員の自発的意思による活動のパワーや可能性を見出すことができ「9:Identify volunteer opportunities(社員の自発的な意思に基づく活動を見つける)」という学びにつながっています。
日本企業はコロナ禍で変わるのか?
中国に比べて危機から脱した時期が遅い日本企業にとってはビジネスをいかに立て直すかという方向に注力されているのだと思います。ただ、今までと異なるビジネスモデルを行わないといけない中、この機会により根本的な改革を進めるチャンスだと思っている企業はどれくらいあるのでしょうか?
以下の日経のアンケート結果や新聞記事を読んでも「在宅」や「ハンコ仕事」など「形」に焦点が置かれているような印象を受けるのは私だけでしょうか?
危機そのものを「我慢」や「集団の力」で乗り越えるのは得意ですが、次のステップにつなげる機会として変革する力があるともっといい国になると思いますが。。
もちろん自分ができることから進めていかないと!私の会社ではリモートワークはまだまだ続きますのでチームに対するオープンなコミュニケーションや持久力・忍耐力を高めることをサポートしていきたいと思います。