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現場の声が握りつぶされる理由は?:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

握りつぶしが起こるのは企業風土が大きな影響を与えている?

 

いいアイデアや問題を上司に伝えたけれども握りつぶされた、あるいは「そんなアイデアや問題は持ってくるな」とたしなめられた経験。。ありませんか?

 

個人的には正面から否定はされたことはないですが(気づいていないだけ😅?)、「上にもっていっても無駄だろうな~」みたいなことは最初の会社で言われたことは何度かあります。

 

この1・2年メーカーの品質検査の隠蔽問題がメディアを賑わせていますが、その陰には何度も握りつぶしがあったのではないでしょうか?

 

では、何故上司はいいアイデアや問題を握りつぶすのか?実はそれは①管理職が持っている裁量権の狭さと②企業の短期的成果主義によるという調査結果がハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事に掲載されていましたので、それを紹介したいと思います。

 

記事のタイトルは”Why Managers Ignore Employees' Ideas? (なぜ管理職は部下のアイデアを無視するのか?)”です。

 

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

調査の概要

筆者は4つの調査を行っています。

  1. 160人の学生に社員の仕事を監視する管理職の役を2グループに分けて行わせる。1つは裁量権が多いグループ、もう1つは細かい指示がすでにあり裁量権がほとんどないグループ。2つのグループを観察すると、後者のグループは前者のグループに比べ、仕事の問題について話す時間が25%も少ない。
       
  2. 424人の社会人に対してオンラインでケーススタディーに取り組んでもらう。参加者には自分が管理職だとしてプロセスを改善するために部下から考えをもらう立場だと考えてもらったうえで、自分が所属する組織は①十分な裁量権がある組織、②官僚的な組織に属しているという2つのグループに分ける。すると②のグループは①よりも部下にフィードバックを聞く機会が35%少なくなるという状況になった。ただし、裁量権があるだけでは十分でなく管理職が長期的視点で考えるか、短期的視点で考えるかという要素も加えると、十分な裁量権があり、かつ長期的思考の管理職の役の場合のみ部下からの考えを求めていた。                             
  3. 4は上記の調査を踏まえてインドとアメリカの実際の上司部下との関係で行ったところ、同様の結果が得られた。

 

この記事を読んで

上記の調査結果のうち1.2についてはどの国でとは書かれていませんが、筆者がアメリカの経営学の教授であることを考えると、おそらくアメリカで実施されたものだと思います。

 

企業風土は国によって異なりますので、日本の企業で実施した場合同じ結果になるかはわかりません。ただ、経験上、組織というのはトップの振る舞い・考えが組織階層を通じて組織に浸透するものなので、経営トップは下から意見やアイデアが上がってこないという前に自分たちが部下にどう接しているかを考える必要がありますね。

 

記事は以下のように最後要約されています。

It is important for organizations to examine the extent to which their practices (e.g., micromanagement by the top management) are impinging on managers’ sense of autonomy on the job. It is also crucial to understand how rampant short-termism can reduce the extent to which ideas from below trickle-up to the top and get implemented.

(組織は、自分たちの振る舞い(例:経営層によるマイクロマネジメント)が仕事に対する管理職の裁量を阻んでいるかを検証することが重要である。また、短期的視点による経営が下から考えがあがってきて導入されるのかを阻んでいるかを理解することも不可欠である)

 

とはいえ、この問題は経営層トップだけでなく、中間管理職の人たちも問う必要があるかもしれませんね。自分の振る舞いが部下がアイデアを持ってきたり、問題をあげてくるのを阻害していないか、私自身(一応中間管理職なので)もいつも問いかけたいと思います。