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インフルエンサーマーケティングは案外手間がかかる?:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

インフルエンサーマーケティングとは?

 

インフルエンサーマーケティングとは、SNSツイッターやインスタグラム)などで多くのフォロワーが持つ人(有名人、一般人関わらず)を商品やサービスのPRに活用するという手法です。

 

私はSNSを使わない時代遅れの人なのですが、通勤途中で周りのスマホの画面がちらっと眼に入ると、若い女性は特にインスタを見ている人が多いな~という印象を受けます。

 

実際、3年前(2016年)の総務省が行った調査でも、10代・20代は1日に平均1時間SNSを見たり書いたりするのに利用しています(私の世代である40代はその3分の1の20分!)(出典はこちらから(P27))。

 

インフルエンサーを使ったマーケティングはもちろん欧米でも増加しています。特にアメリカでは4分の1のインターネットユーザーが企業広告をブロックしており、第三者を利用したマーケティングが欠かせないということなんですね。

 

今回、ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事で、インフルエンサーに関する調査が掲載されていましたので紹介させていただきたいと思います。

 

タイトルは”How Brands Can Build Successful Relationship with Influencers(ブランドがインフルエンサーと上手な関係を持つことができるか?” です。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。 

 

インフルエンサーとの関係性を築くことがキー?

この記事はパリのMBAの教授がインフルエンサーに対する詳細な27のインタビューと美容・ファッション業界の補足のケーススタディによる調査結果をまとめたものです。

 

その結果の概要はというと

  • 企業はデータから客観的にみられる数字のみでインフルエンサーの選定(例:フォロワー数)やその広告結果(キャンペーンに対する効果)を測り、インフルエンサーを一律に取り扱う傾向が強いが、それに対してインフルエンサーは大きな不満を抱いている。
  • インフルエンサーは広告の依頼を見た時、相手側が自分のことを理解してコンタクトをとっているかはすぐにわかる(インフルエンサーもプロ化している)。
  • 最近はインフルエンサーは「個人」として扱われ、ブランドとコラボをしたいと考えており、それに気づいているブランドはインフルエンサーを「ブランドアンバサダー」として取り扱い、綿密なコンタクトをとっている。

 

ということです。記事では客観的なデータでの選定・効果測定でのインフルエンサーの利用をTransactional approach(手続き的なアプローチ)と呼び、ブランドアンバサダー(フォロワー数だけでなくブランドのイメージに合うか、一緒にブランドストラテジーを作っていけるか)としてのインフルエンサーの利用をRelational approach(関係性のアプローチ)と呼んでいます。

 

後者の例を取った企業(ブランド)としてファッション業界のASOSやロレアルパリが取り上げられていますが、その効果は絶大(impressive)だということでした。企業アカウントのフォロワー数が1年でASOSは1.6倍(12万3000から20万)、ロレアルは1.4倍(460万から630満)に増えたそうです。

 

このことから、筆者はRelational approachへの移行を推奨していますが、インフルエンサーとの関係構築にはそれだけ人や時間がかかります。一般的にTransactional approachに基づいたインフルエンサーマーケテイングはリーズナブルだと考えられてきましたが、今後成功させていくためには企業にそれだけの労力とコストをかける覚悟が必要とのことです。

 

この記事を読んで

SNSをあまり活用しない私にとっては

 

インフルエンサーとそこまで時間と労力をかけて関係を築いたりブランド戦略を練ることでどれだけPR効果があるのか??」

 

というのが正直な感想でした。実際、モデルや専門家がグッズやサービスをレコメンドする方法は従来のメディア(雑誌)でも取られていた方法です。逆に、そのPRをする人がネットから台頭した一般人の場合、その人が信頼に足る人なのか、どこまでその影響力を保つことができるのかがより不確定で、従来のマーケティングよりもむずかしくなるのではないかとも思いました。

 

とはいうものの、電通の調査などでみると、インフルエンサーの影響は大きいようですね(企業PRをインフルエンサーが行っていると知ってもポジティブなのが少しびっくりでした)。まだインフルエンサーマーケティングは過渡期だと思いますが今後のPR行動にどのような影響を及ぼしていくのか、楽しみながら見ていきたいと思います。

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