ソーシャルメディアはアンチソーシャルの時代に??:ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事から学ぶ
アメリカの若者がソーシャルメディアを使わなくなってきている理由
ソーシャルメディアをあまり使わない私ですが、世の中のトレンドを知るうえでソーシャルメディアがどのように使われているかは多少なりとも気になります。
電車などで(特に若い女性は)インスタやツイッター、Facebookをチェックしている姿をよく見かけますしね。
ということで、今回ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事で若者はオープンにソーシャルメディアを使わなくなってきているという記事を見つけた時興味を惹かれました。
記事のタイトルは"The Era of Antisocial Social Media(ソーシャルメディアがアンチソーシャルの時代に)”です。
*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。
そもそも、ソーシャルメディアとは”誰もが参加できる広範的な情報発信技術を用いて、社会的相互性を通じて広がっていくように設計されたメディア(Wikipediaより)”と、「開かれた」メディアであることがその特徴であるという考え方が一般的だと思います。
ただ、最近特にアメリカの若者はオープンな場を嫌い、自分が好きな人や趣味が共通している人などと閉じられたツールでつながりたいという傾向があるということです。
調査の結果としては
- 12~34歳のアメリカ人のいくつかのソーシャルメディアの利用率はピークに達したか減少傾向(Facebookの利用率は2017年の79%から2019年62%に減少)
- ミレニアル世代やはジェネレーションZ(要は2000年に入って大人になり気づいた時からデジタルが当たり前だった世代ということですね)のソーシャルメディアに利用する時間は減少、変わらない、あるいは伸び率が鈍化
ということだそうです。その理由としては自分自身でいたい、共通の興味や趣味で本当の友達を作りたい、またプライバシーを確保したい、ソーシャルプラットフォームの人の群れから小休止したいということが挙げられています。
物心ついた時からデジタルツールになじみ、いつでも「つながれる」ことが当たり前になっているからこそ、飽きる・疲れるのも早いのかもしれません。。
デジタルマーケティングは非公開の場所をいかに活用できるかが鍵
この記事のメインはそういう若者に対してデジタルマーケティングをどのように行っていくのかが本題です。
Facebookやツイッターで公開の場でPRしても響かないということですからね。
その第一歩として筆者が勧めているのは、よりクローズで双方向に会話ができるようなオンラインツールについて理解することです。
こういった場所を筆者は”digital campfires(デジタルキャンプファイヤー)”と名付けています。
キャンプファイヤーのように少人数で集まって囲むというなイメージが特徴だということなんでしょうね。
そういう場として挙げているのが
- 小グループのメッセージグループ
- 小さなコミュニティグループ
- 共通の趣味・経験についての非公開もしくは公開のスペース
です。このためにはインフルエンサーを利用してコミュニティグループに入ったり、また自社のブランドが宣伝したいグループはどのようなグループかを理解したうえで参入するグループや作るコミュニティスペースを考える必要があるといいます。
うまくいけば、小グループであるためにブランドへのロイヤリティも上がるというのです。
ただ、ある程度の規模の会社でのブランドの浸透はある程度の規模が必要な中で、双方向でのコミュニケーションに労力がかかる場合どこまでその効果があるのかは考えないといけないですね。
日本はこれにあてはまる?
この記事を読んだとき「日本はどうなんだろう?」と考えてしまい、いくつかググってみました。以下の記事がよくまとまっているかなと思ったのですが、いずれにせよ日本はLINEがどの世代でも圧倒的主流で、10代~20代のツイッター、インスタ利用の多さ、Facebookは20~30(40代)がその次に使われているソーシャルメディアということでしょうか。
紹介した記事のもととなるウェブページで若者(12~34歳)のソーシャルメディア活用を見ていると、減ったとはいえFacebookの活用率は62%で、日本の20代の47%という数字を考えても、米国での利用率は高いということですね。
そもそも日本はLINEが主流であるということを考えると、公開してコミュニケーションするよりもグループを作ってコミュニケーションするというのがベースになっているため少し状況は違うのではないかと思います。そうした中でじゃあインフルエンサーやクローズド(非公開)なツールを活用してデジタルマーケティングを行っているところはあるのか、という点については疑問が残りますが。。