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データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

思考力を高めるために紙で読むことは必要?:「デジタルで読む脳×紙で読む脳」を読んで

 

「読む」という行為は生まれつき備わっているものではない!

本をネットで買うたびに電子書籍で買うべきか紙の書籍で買うべきか悩んでしまいます。

 

とはいうものの、最近は漫画本やハウツーもの、英語の本以外は紙の書籍で買うことが多くなりました。2~3年前まではすぐに買えて価格も幾分お得な電子書籍(私の場合Kindleがメインですが。。)で買うことが多かったですが、

 

理由としてはまず小説は心に全く残らない、ビジネス書や新書もマーカーを引いても「何かを学んだ」という感じがないからです。

 

自分の体験上、電子書籍と紙の書籍の違いをもっと掘り下げてみたかったので、新聞の書評で「デジタルで読む脳×紙で読む脳」を見た時は「これだ!」と思いすぐに購入しました。

 

筆者は名門UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で「ディスクレシア・多様な社会的公正センター」所長で認知神経科学発達心理学ディスレクシア(文字の読み書きに困難がある障害)を専門としています。

 

まず、この本を読み始めて一番衝撃だったのが「人類は誕生時から字が読めたわけではない」ということです。

 

「そんなの当り前だろう!」と思う人がいるかもしれませんが、話すという行為は人間の基本的な機能だといわれると、「え、読むと話すのってそんなに違いがあるの??」と思いませんか?

 

実は、脳には可塑性があって、新しいスキルと関連のある神経回路を再利用しもともとなかった回路を作ってしまう能力があるというのです。

 

そうして得られた能力の一つが「読む・書く」という能力であり、そのためのプロセスの形成には何年もかかります。そのプロセスについての詳細も本には書かれていますが、文字を目にして理解するという一瞬で行っている行為にいかに脳が忙しく働いているかを知ることができます。

 

ということはそのプロセスの育成によっては「読む・書く」という力が十分に備わらない可能性があるということなのですね。

 

ちなみに、中国語や日本語という漢字は、視覚的に難しい処理を行うため、アルファベットより右脳半球の視覚領域をかなり使うそうです。

 

紙で読む時とデジタルで読む時の差はある?

ノルウェーの研究者は短編小説をペーパーブックスで読む学生グループとKindleで読む学生グループに分けて読んでもらい、そのあとその内容について質問に答えるという実験をしました。

 

すると、紙媒体で読んだ学生グループの方が電子書籍(Kindle)で読んだグループよりも筋を時系列順に正しく再現できることがわかったというのです。すなわち画面上で読むと細部の情報と記憶の順序付けが悪化しているということなのですね。

 

これは自分の経験上でも何となくわかります。特に小説は、読んでいるときに人物関係や時の前後がわからなくなると、ぱらぱらと以前のページに戻って確かめたりします。もちろん電子でもできるのですが、特に事前にハイライトでもしない限り戻る気になれないんですよね。

 

ただ、読む媒体が違うことによるその本への理解度よりもさらに深刻なのはデジタルによる情報過多及び注意散漫により、物事を深く考える力=熟考力が落ちてくることであり、筆者の懸念もそこにあります。

 

この本には私たちが現在日々利用する情報量は小説一編と同じ単語量に等しいと書かれていました。多くは深く理解することなく「見ている」だけなのでしょうが、これに加えて絶えずスマホやPCでネットサーフィンしている(これは新奇性バイアス(新しい刺激にすぐさま気づかないといけない人間の性だそうです。。))状況ではじっくり本を読み、考える時間が無くなります。

 

考える時間がなく熟考する力が弱まると、裏付けのない情報・偽の情報にふれても自分で判断をすることができないためその犠牲になることが多いというのです。

 

実際アメリカの小学4年生の読解力は3分の2が「堪能レベル(すらすらと内容を理解できる)」に達していないことに筆者は大きな危機感を持っています。もし将来3分の2の国民がきちんと情報を自分で咀嚼できないレベルで社会に出て働き、投票を行ったら。。日本も他人ごとではないかと思います。

 

刺激から離れることの重要性

残念ながら「電子書籍とどう共存していくか」ということの明確な回答はなかったのですが(一応提案はありますがちょっと無理がありました)、デジタル社会の中でじっくり本を読むということ、考える時間を持つということについて自分の行動を変えるきっかけを与えてくれたと思います。

 

まずは月400円で読めるデジタル雑誌の読み放題の購読をやめました。その時その時は情報を得られていいなと思うのですが、結局何も残っていないんですよね。その時間に毎日30分あてているなら本を読んだり、ブログを書いたり、スキルアップに時間をあてたいと思います。

 

刺激に打ち勝つことは簡単なことではないけれどもやめるかどうかは自分の意思次第!自分が試されているんですね😅。