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チャットボットの導入を考える前に。。:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

チャットボットはコールセンターの代替になる?

 

携帯の契約業者を変える、買った電化製品が故障した。。

こういうとき企業のコールセンターに電話することになります。

 

時にはスムーズにつながることもありますが、大手メーカーだとなかなかつながらず音楽を何分も聞かされる、つながってもまた音楽を何分も聞かされたり違う場所を案内されたり。。個人的にはあまりいい経験がありません。

 

その救世主(?)として考えられているのがチャットボットです。

チャットボットは機械が対話を通じて、相手の質問に答え問題を解決するというものです。メリットとしては1)24時間いつでも対応できる、2)コールセンタ―の人件費を減らせる、が基本的なものですが、顧客のデータを多く集めることによりニーズへの対応やうまくいけば顧客のロイヤリティの高まりなども期待できるといわれています。

 

さらに知りたい方はこちらのサイトなどをご参考にしてください。日本・海外のトレンドがよくまとまっています。

hitobo.io

 

では、チャットボット がどんなお問い合わせ対応にもいいのかというとそうではないようです。

ハーバードビジネスレビュー(HBR)にずばり "Does Your Company Really Need a Chatbot?(あなたの会社にはチャットボットが本当に必要ですか?)" という記事が掲載されていましたので今回はこの記事を紹介したいと思います。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

ちなみにこの記事の筆者の一人はチャットボットをはじめとしたAIベースのソフトウェアやサービスを提供している会社のCEOです。

 

そのような人がチャットボットの限界を自身の経験も踏まえてハーバードビジネスレビューな著名なメディアに書くというのは面白いですし逆に信頼もできる気がします。

 

また、この分野ではアメリカが日本よりも先を言っているのは間違いないですし、これから導入する日本の企業の参考にもなるのではないでしょうか?

 

 

導入の壁は大きい。。

まずチャットボットについて知っておくべきは、いろいろな段階のものがあるということです。

 

一番優れたチャットボットはVirtual Agent (バーチャルエージェント)です。バーチャルエージェントはAIを駆使し、顧客のリクエストに企業が持っている情報(例:過去の購入歴、アカウントの設定等)も使いながら適切に対応するというものです。

 

こうしたバーチャルエージェントの導入に見合う基準はなんと

  • 現在ヘルプデスク対応にかかっている人員が何百名がいる
  • ヘルプデスクにかけている予算がに数千万ドル(数十億円!)に及ぶ

 

でないといけないということです。

 

理由は2つあります。

  • 機械が効率的なバーチャルエージェントになるためには数万のトレーニングデータが必要となります。そうでなければ効率的に機会が学ぶことができない。
  • 実際の導入には数か月かかり、顧客やヘルプデスクに勤務している人たちなど絵の影響も多大になります。ですので、それに見合うだけの費用対効果がなければ行っても意味はないということです。

 

筆者が成功例として挙げているのはAvisというレンタカー会社やDish Networkというアメリカのケーブルテレビ会社で、Avisではお問い合わせの電話の68パーセント、Dish Networkでは40%がバーチャルエージェントが対応しています。Avisの問い合わせ数は具体的には書かれていませんが、Dish Networkは年間400万件の問い合わせがあるということですので、40%バーチャルエージェントで対応できるというのは大きなインパクトがあります。

 

またDish Networkでのバーチャルエージェントの対応への満足度は人間の対応と同じということですからかなり優秀ですね。

 

導入にあたってはお問い合わせ数だけでなく、どのチャンネルを使うかも重要だと筆者は述べています。

 

すなわち

  • 個人情報や自社が持っている情報を扱わなくていいのであれば、AmazonのアレクサやFacebookメッセンジャーアプリケーションなどユーザーがよく使っているツールで導入するのがおすすめ。
  • ただし顧客の認証が必要なのであれば、他社のプラットフォームを使うのであれば、個人情報保護の観点からも含め自社でプラットフォームを作るべきである。

これはITスペシャリストでない私からしても直観にそうだと思います。顧客とやり取りをするために自社の情報を他社のプラットフォームとつなげるのは(昨今のいろいろな事件も含めると)リスクが非常に多いというのは想像に難くありませんね。

 

USのアレクサでも銀行情報を提供してくれる仕組みがあるそうですが、事前の設定が必要のみならず、現在の預金高と直近5つの請求までしか表示されないようです(それ以上はエージェントと話す必要があるということ)。またバンクオブアメリカは独自でチャットボットを展開しているということです。

この記事を読んで

 この記事を読んで1)コールセンターがチャットボットに代わるのはまだ先だろうな、ということと 2)人間の脳はすごいんだな~ということを改めて思いました。

 

私が上に挙げたような典型的なコールセンター業務は、個人情報を取り扱うことが必須になります。大きな企業だと筆者が言っているような基準を満たすかもしれませんが、100%正確性を求められるためなかなかハードルは高いような気がします。

 

日本で成功例として挙げられている一つが横浜市のごみ分別についてのボット「イーオ」くんですが、このように単純な回答でちょこちょこ役に立つ使い方はできるかもしれません。

 

あとはロボットが学ぶための数万のデータの必要性ですよね。人間が学ぶ際にはそこまで必要がないことを考えると人の脳は柔軟にできているんだな~と改めて感心しました。