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データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

「みんなの意見は案外正しい」は正しい?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

多くの人が行った評価が正しいような気がするのは・・

何か商品やサービスを購入するとき、ついネットでその評価を見てしまいます。

そのとき

  • 2人が5の評価を付けた商品
  • 150人の人が4.3を付けた商品

だったら皆さんはどっちの商品のほうがよさそうだなと思いますか?

 

私は直感的に後者を選びます。前者だとその業者の知り合いが意図的にいい評価をアップしただけかもしれませんし、多くの人が評価して4以上あるならいいかなと思います(もちろんコメントはパラパラと読みますが。。)

 

これと直接関係があるかどうかはわかりませんが、実際多くの人の意見を集合させるとその評価は、専門家よりも正確になるということが長年信じられてきました(いわゆる「wisdome of crowds (大衆の知恵)」といわれるそうです。)

 

実際この大衆の知恵が成り立つのかどうかを実験した興味深い記事をハーバードビジネスレビュー(HBR)で見つけましたので今回はこの記事を紹介したいと思います。

 

タイトルは、”For Crowdsourcing to Work, Everyone Needs an Equal Voice(大衆の知恵を生かすためには、みんなが平等の声を持つ必要がある)” です。

 hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

記事のタイトルが示す通り、大衆の知恵が成り立つためには参加者みんなが平等であること=特定のインフルエンサーに影響されないことが重要だということです。

 

では実際の調査結果を見ていきましょう。

 

調査結果とそこから得られる学び

 

これまでの調査結果で大衆の知恵を邪魔するといわれてきたものが2つありました。

  1. 他人の意見による影響(これにより個々の人の独立性が失われるため)
  2. 認知バイアス(政治的意見など特定の意見への偏向)

 

そこで筆者が行った実験の一つは、情報の流れを制御して、あるグループには少数のインフルエンサーが出現するCentralized Group(集権的なグループ)、一方のグループは参加者が平等の影響力をもつDecentralized Group(分権的なグループ)をつくってその意見の集約を見ました。(どう制御したのかは?です😅。話し合いの内容は瓶の中にある組の数や物の値段の予測などよくこの手の実験で使うもののようです。)

 

当然ながら集権的なグループは「声の大きい」グループの意見が正しければ正しい回答を得られましたしたが、分権的なグループはお互い意見交換をするうちに正しい意見のほうに集約されていきました。からくりとしては、自分は正しい答えを知っているという人が的確に発言する一方、自分の答えに自信がない人が修正するなかで正しい答えに集約されていくからなのですね。

 

第2の「認知バイアス」についても人筆者は実験を行っています。政治的意見が民主党派の人、共和党派の人数百人をを一斉にウェブサイトに集約し、平等に2回(みんなの意見を見る前、見た後)質問を尋ねたところ、やはり正しい意見に集約されたということです。すなわち認知バイアスは信じられていたほど大衆の知恵に影響を与えなかったということですね。

 

では、誰かが情報を操作しようとした場合にはどうなるのか?その結果を見るたびに企業業績を予測するウェブサイトを調べたそうです。その結果、ほとんどの場合は次第に情報が正確になるにもかかわらず、あるプロがわざと悪い業績を入力して操作しようとしたグループのみが成績が悪かったそうです。

この記事を読んで

「大衆の智恵」ということは初めて聞きましたが、直感的に思っていたことは何となく正しかったんだな~と思いました。またこれに関する本もググってみたところ、面白そうな本も見つけたので一度読んでみようと思います。

 

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

 

 

一方で、これが成り立つのは「みんなが平等に意見ができる」という大前提が必要です。ネット社会は「平等」を可能にする一方で、自分の好みの情報のみで過ごせるというリスクもあります。(もしよろしければ以下のブログを読んでください)

millebon.hatenablog.com

 

筆者は以下のような言葉で記事を締めくくっています。

In order to get the most accurate forecasts and make better decisions, leaders can encourage people to communicate and share information in order to ensure the crowd arrives at the best solution. (よりよい予測や決定を行うためにリーダーは、グループでベストな回答にたどり着けるようコミュニケーションや情報共有を促す必要がある)。

 

正しい決断をするためにもみんなが平等で声をあげられる、そんな土壌を周りから作っていきたいですね。