メールを分析して顧客満足度をあげる:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ
ビジネスのパフォーマンスを振り返る画期的な方法?
「自分の仕事の方法は本当に効率的なんだろうか?」
と思ったことはありませんか?
特に営業の方などは、自分の顧客とのやり取りが直接売上に結びついているのかなどと考えることがあるかもしれません。
結果でパフォーマンスを測ることはよくありますが、ではその方法がパフォーマンスにつながっているのかどうかという検証は難しいですよね。
ひとつの方法としては、他人からみて仕事の方法が適切かどうかという「Feedback(フィードバック)」があります。が、最近の記事で紹介した通りはなかなか客観性が低いという批判があったりします。
そこで、現在のコミュニケーションのメインツールであるというメールでのやり取りを分析し、どのようにコミュニケーションすればパフォーマンスが上がるかという分析を行った記事がありましたので今回はこの記事を紹介したいと思います。
記事のタイトルは”Novel Way To Boost Client Satisfaction (顧客満足度を高める新しい方法)”です。下のリンクのタイトルは異なりますがサブタイトルがリンクに入っているようですのでお気になさらず。
*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約6ドル課金されます。
調査方法と結果
この分析は「Genpact」というコンサルティング会社で何と2年にかけて行われました。分析したメールの数はなんと450万通!記事に限らずハーバード・ビジネス・レビューに掲載される記事の分析の規模の大きさに時々驚かされます(ただ、よく見ているとオンライン調査をいくつか組み合わせた結果を紹介しているものだけというのもありますが。。)。
調査方法は以下の通りです
- 176チームを選出し26チームが実験対象。残りの150チームは比較対象で26チームと同じような顧客を扱っているチーム
- 2か月の期間を一区切りとして4回実施。それぞれの期間の顧客とのメールの内容を分析 (ちなみにその期間は4半期の顧客の満足調査と一致するように設定)
- 調査期間中、実験対象チームのリーダーは月1回の「Virtual Mirroring Session(仮想模擬セッション?)」に参加。その中でメール分析のFeedbackを受ける。
- チームの顧客満足度の結果がどのように変わったかを調査
調査結果はというと。。
- 調査チームの仮説通り以下のようなメールのコミュニケーションを行っているチームの顧客満足度が一貫して高かった。
⁻direct communication (上司を介してではなく担当者が直接やりとり)
⁻simple language (シンプルな言葉を使っている)
⁻fast response time (返事が速い)
⁻consistent points of contact (やり取りする相手が決まっている)
- 「Virtual Mirroring Session(仮想模擬セッション)」でFeedbackを受けたチームは比較対象チームより顧客満足度が17%上昇
ということで、メール分析を通じてパフォーマンスを測ることの一定の有益性を紹介しています。またこのメール分析での副次的な効果として、メールから誰が会社を辞めそうかどうかも予測ができたということでした。
この記事を読んで
調査手法としてはなかなか画期的だなと思う反面、調査結果については
「450万通のメールを分析しなくてもわかる結果じゃないのか。。」
というのが正直な感想でした😅。例えばメールを送る時間帯や、メールのやり取り数、この言葉をこの時に使うととより効果的というような細かい結果と具体的なFeedbackにつながるのであれば面白いなと思います(注:調査手法では顧客との機密保持の関係によりメールの内容までは踏み込んだ分析は行っていないようです)。
とはいうものの、満足度において17%もの差が出ていることを考えると、結果が客観的であるだけにFeedbackを受ける側からすれば納得がいきやすいのかもしれませんね。また、この分析結果はある程度汎用性があるので、今後の自分の仕事の中でも活かしていこうと思います。