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データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

舞台裏を見せたほうがビジネスはうまくいく?:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

いろいろ便利になったはずなのに。。

 インターネットやSNSスマートフォン:これにより私たちの生活は格段に便利になりました。

 どこでも、ネットでつないで買い物ができる、銀行振り込みも今やネットバンキングでできる、世界中の情報を得ることができる。。

 こうした便利さの陰には、多くの労力があって成り立っています。が、その便利さが当たり前になり、少しでも不自由なことがあれば私たちは不平不満を言うようになりました。

 「実は、サービスを提供する際に起こっていることを見せたほうが顧客満足も上がり、社員の満足度も上がりますよ」というおもしろい記事をハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)で見つけましたので、紹介したいと思います。

 記事のタイトルは”Operational Transparancy (Show Your Customers How Hard You're working for Them (運用の可視化:顧客にハードに働いている姿を見せなさい)”です。

 OperationalはOperation(オペレーション)の形容詞ですが、訳しにくい単語の一つですね。Operationは、手術(オペとよく言いますよね)という意味もあり、「サービスや製品を届けるための一連のプロセス」という風に考えていただくといいかと思います。hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

舞台裏を見せることのメリット

 舞台裏を見せることは①顧客の満足度をあげビジネスを伸長させる、②従業員の生産性ややる気をあげるという2点のメリットがあるというのです。実際以下の事例が紹介されています。

  • Kayakという飛行機のネット予約サイト:この会社は航空券のルートの検索中、その間に何が起こっているかをネット上で示すことで、高い顧客満足度、また利用したいという意思を示している。驚きなのが、このように状況が見える状況で55秒待たされている場合と「進行中」というバーが出たままで25秒待たされている状況のサービス満足度が同じだというのです。
  • 製造にかかった費用を明示した財布の売り上げが26%アップ
  • 同じ目の病気を持つ患者と一緒に診療室に入り、医者の診察状況や患者のやり取りを聞くと、1対1で診療を受けるより満足度も高く、質問をよく投げかけ、医者のアドバイスもよく聞く。
  • 料理店で顧客がシェフの様子をiPadで見れるようになると顧客の満足度が14%アップ。またシェフも顧客を見れるようになると、顧客満足度は22%までアップし、シェフの対応が19%スピードアップ。
  • 日本の新幹線の清掃スタッフを目立つように変え、乗客とのやり取りを増やすことで社員の改善意欲が上がり、清掃にかける時間も大幅短縮(「テッセイ」という清掃会社ですね。東洋経済オンラインにも記事が掲載されていました)

 では、何故舞台裏を見せることでこのようなメリットが生まれるのでしょうか?

 顧客側は舞台裏を見ることで自分に提供してくれるサービスにこれだけの労力がかかっていることがわかり、そのサービスの提供の裏にある専門性を感じるようになるのです。その結果サービスへの労力や質に対して感謝をするようになり、顧客満足度が上がります。

 一方、従業員側は、実際にサービスを提供する顧客を見たり、また彼らから感謝されることでやる気を高め、一層の努力をするようになります。

 ですので、筆者は顧客から舞台裏を見せるだけでなく、従業員も顧客が見えるようにすることを推奨しています。

 

舞台裏を見せる際の注意点

 とはいうものの、なんでも見せていいわけではありません。記事では見せるべきでない10の事例(例:It reveals things people genuinely don't want to see (人々が見たくないものを見せる), It exposes an ineffective process(非効率的なプロセス))を紹介し、何を、何時、どのように見せるかを考えてから、顧客と従業員がお互いを見せる方法を考えるべきだと述べています

 筆者は結論として以下のように述べています。

 

In a sense, today’s businesses have become victims of the global economy’s immense productivity gains over the past two centuries. Consumers today rely on a dizzying array of products that are manufactured and distributed from all around the world and on services that are delivered with an intensifying frequency. But the apparently effortless abundance and convenience also make it easy for consumers to take work for granted and for employees to lose out on the learning and motivation that customer connections afford. With that in mind, businesses should stop reflexively hiding their operations for the sake of efficiency and instead thoughtfully consider when and how to open them up to create more value for customers and employees alike.

 

 要約すると、この2世紀は、グローバル化の波で効率よくつくり届けることに躍起になり、ものがあふれ便利な時代になったけれども、その結果顧客はその状況を当たり前のように思い、従業員は顧客から切り離されモチベーションを失っている状況にある。このような状況を断ち切るため、舞台裏を効率化のため隠すのではなく、顧客と従業員満足度のためにどのように舞台裏を見せたほうがいいかを考えたほうがいいということです。

この記事を読んで

 この記事を読みながら、私は連続テレビ小説の「まんぷく」を思い出していました。あのドラマでは、チキンラーメンカップラーメンがいろいろな努力を重ねて作られたのを見て、チキンラーメンカップラーメンを買いたくなりましたしその価値も見直しました。その時の私に起こっていることはこの記事に書かれていることと同じなんだろうなと思います。

 ものがあふれいろいろな選択肢がある中で、人々はお金で測れない価値やサービスを求めているのだろうと思います。ビジネスパーソンとしては効率化一辺倒にしないことがビジネスにプラスになることを忘れずに、そして顧客側としてはどんなサービスに対しても感謝を持つ心を忘れないようにしないといけませんね😉。