脳の仕組みを知って先延ばしを防ぐ:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ
何故先延ばしをするのか
これをしないといけないと分かっているのに、行動に結びつかないということありませんか?
私にはしょっちゅうありますが、英語では先延ばしをすることをProcrastination(名詞)、もしくはProcrastinate(動詞)といいます。
今回は”How to beat procrastination(先延ばしに打ち勝つ方法)”という私の悩みにドストレートにこたえてくれる記事があったので紹介したいと思います。
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この記事の最初の部分を読んで私はまず救われた気分になりました。
The problem is our brains are programmed to procrastinate. (問題は私たちの脳は先延ばしをするようにプログラムされているということだ)。
あ、じゃあ先延ばしするというのは自分が怠惰だからじゃないんですね!なんでも脳というのは、抽象的なものよりも具体的なことをしたがる傾向があるため、中長期的にメリットのあるものよりも、今すぐしないといけないものを優先したがるそうです。
皆さんはタスクを4分割に考える手法を知っていますか?4分割の軸は1)緊急性と2)重要性の2軸から
- 緊急で重要
- 緊急でないが重要
- 緊急だが重要でない
- 緊急でも重要でもない
の4つに分かれています。この中で2の「緊急でないが重要」に対して時間を取ることを最優先事項とし、3「緊急だが重要でない」、4「緊急でも重要でもない」ことを減らすことが効果的だと7つの習慣には述べられていますが、人間の生まれつきの傾向としては1「緊急で重要」や3「緊急だが重要でない」を優先しがちだということですね。
- 作者: スティーブン・R・コヴィー,フランクリン・コヴィー・ジャパン
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先延ばしをしないためにはどうすればいいのか?
筆者は2つのことが重要だといいます。
- To make the benefits of action feel bigger and more real:(その行動の効果(メリット)を大きくよりリアルに感じるようにする)
- To make the costs of action feel smaller(その行動をする費用(障害)を小さく感じるようにする)
前段で「脳は中長期的にメリットのあるものよりも、今すぐしないといけないものを優先したがる」と書きましたが、先延ばしをするのはその行動の費用対効果が相対的に小さく感じるからだということなのです。将来のことは今起きていない=>なのでその効果が今あるものよりも感じられにくいということなんですね。
では具体的にどうすればいいのかですが、その効果を大きくリアルに感じるするための方法が3つ、その行動をする費用を小さく感じるようにする方法が3つ挙げられています。
- Visualize how great it will be to get it done. (それをやり遂げることがどれほどすばらしいことかを具体的にイメージする):ある調査によると、自分の老後の姿のビジュアル(今の自分から年を取った姿の写真を作るというものですね)を見せると老後のための資金を貯蓄する確率が高まるそうです。なので、その先延ばし行動をした後の結果をできるだけ具体的にイメージすることが先延ばしを防ぐことになるというのですね。
- Pre-commit, publicly. (人に公言する):人間は社会的動物なので、人から認められるということを脳は非常に重要視するのですね。なので、実際に行動を公言するということは行動を起こすための大きな後押しになるということです。
- Confront the downside of inaction. (行動しないことによるデメリットを考える):面白いもので、人間は何かすることのメリット/デメリットはよく考えるのですが、それに比べてやらないことのメリット/デメリットは考えないそうです。なので、あえてやらなければどのような結果になるのかを考えることで、先延ばし行動の甲かを感じやすくするということですね。
- Identify the first step(最初のステップを見つける):これはよく言われることですね。何かをしようとするとき大きな塊で考えがちですが、そうするといざ行動するとなると何をしていいかわからない。ですので、まずはそのために何をすればいいかを具体的にもつことで最初の行動がしやすくなるということです。
- Tie the first step to a treat(最初のステップをするためのご褒美を用意する):これは最初のステップを実行しやすくなるための仕掛けです。先延ばししている仕事の後おしゃれなカフェで休むとか、そういうご褒美を上げることで行動の確率が上がるというものですね。
- Remove the hidden blockage(隠れた障害を取り除く):その行動を行わない理由にはなにか障害になることがあることが多いので、それを明確にするために自分自身に「Why」を投げかけようというのです。障害がわかればそれを取り除くために何をすればいいかがわかりやすくなるということですね。
この記事からの学び
「先延ばしをしない方法」の具体的な6つはよく聞く内容も多かったのですが、何故先延ばしをするか?というところを脳の仕組みから説明して対策を示しているのが面白いなと思いました。
自分の経験を思い返してみても、2の「人に公言する」があって、去年の統計検定2級に受かることができましたし、週2回の朝のジョギングも前日にウェアを用意することで4の「最初のステップを見つける」という対策をとっているのだなという新たな発見もありました。逆にできていない行動については、あまり行っていない3の「行動しないことによるデメリットを考える」や6の「隠れた障害を取り除く」を使ってみようと思います。
記事から学ぶ役立つビジネス英語
upside(利点)とdownside(デメリット):この記事ではよく使われますし、ビジネスでもよく使います。記事では以下のように使われていますね。文例は以下の通り。
- The short-term effort easily dominates the long-term upside in our minds.
- Force yourself to think about the downside of putting it off.
pros and cons (メリットとデメリット):upside, downsideと違う点は必ずセットで使われるということです(逆にupsideとdownsideはセットで使われることは経験上ないと思います。)よく、メリットとデメリットを書き出すブレストを「プロコンアナリシス」などと外資系ではいうのですが、純日本企業勤務の知り合いにこの言葉を行ったとき不思議な顔をされました。文例は以下の通り。
- We might weigh the pros and cons of doing something new.