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「夢中になれること」を仕事にするのは難しい?:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

9割のトップMBAの学生も夢中になれる仕事につきたいと考えているが。。

人生のアドバイスでよくいわれることの1つが「自分が夢中になれる仕事につきなさい」ということだと思います。

 

人生は短い、だったら自分が夢中になって取り組めることに時間を使った方がいい。とてもシンプルな理由です。

 

英語では”Follow your passion”という言葉がこれに当てはまるかと思います。直訳すると自分が熱心になれるものや事に従うということですね。

 

実際アメリカでもこのことは重要だと考えられています。トップビジネススクールの1つであるコロンビア大学MBAの学生に取ったアンケートでも、将来の仕事において「夢中になれる仕事をする」ということが重要な目標だと答えている学生が9割もいるというのです。

 

ただ実際ふたを開けてみるとどうか。。デロイトがアメリカの3,000人の正社員を対象にした調査では、20%の人しか自分が本当に夢中になれる仕事についていないという結果がでました。

おそらく日本で同様の調査をするとより低いのではと想像されます。

 

こんな中、「夢中になれる仕事につくこと」がどういうことかを理解していないから失敗するのだという記事をハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事で見つけたので紹介したいと思います。

 

タイトルは”3 Reasons It's So Hard to "Follow Your Passion(夢中になることを仕事にするのが難しい3つの理由)”です。

hbr.org

 *記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます

 

理由その1:夢中になれるものはこれだとすぐ決まらない

まずは夢中になれるものは「これだ」と決まったものだ(Fixed)と考えている人が多いということです。確かに漫画でもドラマでも何となく「あ~これが私のやりたかったことだ」とか「これが私の天職だ」など、ふいに湧いて出てきて決まるみたいな印象がありますよね。

 

でも実際に自分が夢中になれないものが自分のスキルや能力が上がることで夢中になれるものに変わることもあるのです。調査によると、夢中になるものは決まっていると考える人はそれにこだわって新しいことをせず、また難しいと思うと簡単にやめてしまう傾向があるということです。

 

ですので筆者は「夢中になれるものは探すのではなく、自分で作り上げる」ことが重要だといっています。自分に興味のあることを小さいことから試してみて自分の夢中になれるものを開拓していくということですかね。

 

理由2:楽しいもの=夢中になれるものだと失敗する

理由1では「夢中になれないものが後で夢中になれるものに変わることがある」と書きましたが逆もしかりです。それどころか「夢中になっている感情は時間とともに薄れていく」は誰にでも当てはまるといっていいでしょう(熱した気持ちは冷めますからね)。

 

なので単に「好きだ」、「楽しい」と思う仕事についてはいけないというのです。実際数百人を対象にした調査で「楽しいから」という理由で仕事に就いた人はその仕事で成功せず、9か月後には仕事を辞める可能性が高いという結果が出ています。

 

では何が重要かというと「自分が楽しい、好きだ」と思えることに加えて自分の価値観や社会に影響を与えたいと思うものに一致したものを仕事にするということです。そのような場合、仕事において苦しい時、困難に向かった時でもあきらめず自分の価値感や達成したいことに向かってやり遂げることができるというのです。

 

 

理由3:夢中になれることを行うデメリットもある

実は夢中になれる仕事を行うのはいいことばかりでないのです。そのデメリットもしっかりと理解する必要があります。

 

まず1つ目は、夢中になれることがほかの人からも同意を得られることであること、適切な状況で表現されるということが重要です。あたりまえなのですが、夢中になっている人の中には周りが見えず、会社員だと浮いた存在になるということも容易に想像できます(もちろん研究者等でそのような「浮いた存在が必要になる場合があるかもしれませんが。。)

 

2つ目は、夢中になっていることに対して自信過剰になりがちで人からのフィードバックを求めない傾向があるということです。確かに夢中になっていることは得意なことで「自分はすごくできている」と思う人が多いというのも不思議ではないですよね。他人からのフィードバックにも耳を傾け自分の立ち位置をきちんと知ることが重要だということです。

 

3つ目はその分野が得意なだけに周りから頼まれ、不必要な仕事を抱え込んでしまうことがあるということです。例えば周囲にIT知識がない場合、それが得意で好きなことだとよく頼まれ、評価されないけれども残業だけが増えていくとか。。もちろん本人が好きでかつ評価をされるならいいのですが、気づけば「うまく利用されていた」という事態は避けたいものですね。