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クリエイティブな組織を作るために必要なものとは:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

クリエイティブな人の特徴は見つかっていない?

 皆さんは「クリエイティブな人」というとどういう人を思い出すでしょうか?私なんかは単純に元アップルCEOのスティーブ・ジョブスや、ほぼ日の糸井さん(元コピーライター)、最近は連続テレビ小説の影響で日清食品安藤百福さんなどがすぐに思い浮かびます。

 

 「クリエイティブな人」というと、何か特別な才能や特徴があるような気がするのですが、実はそのような特徴は見つかっていないそうです!今回紹介するハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の記事 ”Set the Conditions for Anywone on Your Team to Be Creaative(チームメンバー誰もがクリエイティブになる条件を整える)” の冒頭は以下のように始まります。

  • One of the most damaging myths about creativity is that there is a specific “creative  personality” that some people have and others don’t. Yet in decades of creativity research, no such trait has ever been identified. The truth is that anybody can be creative, given the right opportunities and context. 

要約すると数十年のクリエイティビティに関する研究ではクリエイティブな人の特徴を表す特徴は見つかっておらず、適切な機会と条件のもとで誰でもクリエイティブになれるというのです。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

では、その4つが何なのか、ご紹介したいと思います。

 

クリエイティブを発揮するために必要な4つの要素

筆者によると、そのために必要なことは 

  1. Cultivate Expertise(専門性を磨く)
  2. Encourage Exploration(他分野の領域からもヒントを得る)
  3. Empower with Technology (技術を利用してやる気を高める)
  4. Reward Persistence(こだわりを奨励する)

ということなのです。ではそれぞれを見ていきましょう。

Cultivate Expertise(専門性を磨く)

 これは基本的なことですね。重要な問題が何かを理解し、新しい解決法には何が必要かを見つけるためには、ある特定の分野での専門性が必要となります。その専門性の取得には会社が行う研修ではなく、deliberate practice(実践を入念につんでいくこと)が重要だというのです。

  

 これに際して筆者が出した例が、Amazonにおけるライティングのスキル。アマゾンではライティングのスキルがパフォーマンスを発揮するためには不可欠だと考えられており、製品紹介からキャリアまで6ページメモを作成することが求められています。そして単に作成して終わりだけでなく、そのメモにコーチングやフィードバックをどんどん提供していくそうです。

 

 もちろん、専門領域の専門性も必要なのでしょうが、いくらそのアイデアがよくても伝わらなければ意味がありません。アマゾンがライティングに注力するのはさすがだなと思います。


Encourage Exploration(他分野の領域からもヒントを得る)

 少し意訳をしましたが、専門性を持ったうえで他分野についても勉強してヒントを得ることでクリエイティブな発想が浮かぶということですね。1800万の論文を調査した研究によると、最も引用が多かった論文というのは別の専門家集団と共同で行った研究が圧倒的に多いそうです。既に多くのことがわかっている中で違う発想を得るためには違う考え方を積極的に取り入れることが重要なんでしょうね。

 

 記事では、グーグルの20%がその応用例として紹介されていましたが、仕事において自分の専門分野外に時間を使うというのも、他分野からのヒントを得るいいきっかけになるんでしょうね。


Empower with Technology (技術を利用してやる気を高める)

 現在のテクノロジーは私たちが仕事を以前よりもずっと生産的に行うことを可能にしてくれています。この生産性の向上により空いた時間で新しいことを試行錯誤する時間を作ることで、クリエイティブな仕事がしやすくなるというのです。

 

Reward Persistence(こだわりを奨励する)

  簡単にいうと「ある研究分野について今商品化されないからカットするのではなく、末永く続けることを奨励する」ということです。多くの企業では逆のことをしていますが、IBMは長期的な研究を継続させる土壌があるようですね。現在IBM量子コンピューターでトップの地位にあるそうですが、そのもととなる考え方は1990年半ば、IBMが財政上危機的状況にあったときに発見されたものでした。そんな状況でも研究を続けることを認めたからこそ、数千億の市場規模の可能性がある量子コンピューターでの今の地位が築けたわけで、IBMがいろいろ変遷がありながらもなんとか生き残っているのかもしれませんね。

 

 

記事から学ぶ役に立つビジネス英語

  • top-notch(一流の・最高の):ビジネスにおいて一流の人材や品質のものを表現する際によく使われると思います。記事では”Expertise is absolutely essential for producing top-notch creative work. (専門性は一流のクリエイティブな仕事を生み出すためには絶対的に必要なものだ)” という感じで使われていました。

 

  • Unclock((もともとあるもの)を解き放つ):語源はもちろん「鍵をあける」ということなのですが、もともと備わっているものを開放するというような意味があります。これとよく似たのがunleashで”Unleash your potential(あなたの潜在可能性を引き出す)”という言い方をしたりします。記事では以下の通り。”The secret to unlocking creativity is not to look for more creative people, but to unlock more creativity from the people who already work for you. (クリエイティビティ高める秘訣はクリエイティブな人を探すのではなくすでに一緒に働いている人のクリエイティビティを開放することである)”

 

  • ups and downs(浮き沈み):日本語でもアップダウンといいますが、いざ使うとなると和製英語かどうか迷いますよね。記事では”That’s why IBM, despite its ups and downs, remains a highly profitable company while so many of its former rivals are long gone. (IBMがいろいろ浮き沈みはありつつも、ライバルがいなくなる中高収益企業として存続してきたゆえんである)”とDespiteを付けて利用されています。