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脳科学を応用して消費者の潜在意識を知る:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

ニューロマーケティングとは?

 最近の消費者理解の方法は、ネットを通じて消費者の行動を深く理解し、個々の消費者のニーズに合う情報提供を行ったり、マスの消費者にあう製品やコンテンツを作成するというのがトレンドになっているような気がします。(過去の記事でもAIショッピングや、ネットフリックスの事例を紹介していますのでもし興味があればば読んでみてください😉)。

 

millebon.hatenablog.com

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 一方、人間の意思決定のうち、95%は無意識に行われているといわれています。こうした中、最近つとに進歩した脳科学(neuroscience)を用いて潜在意識から消費者理解を深めようという動きがあるそうです。

 

 ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事で、”Neuroscience is Going to Change How Business Understand Their Customers (脳科学によりビジネスが顧客を理解する方法を変えようとする)” という記事がありましたので今回はこれを紹介したいと思います。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

 この記事では市場の動きが速く先読みが難しい中で、将来どのような方向にビジネスを持っていくための洞察(インサイト)を得るために、脳科学を応用した手法が使えるということです。なぜかというと、この手法は、人間の行動をより深く理解し、重要な決定の瞬間についてのデータを提供することができるからだということです。

 

以下原文

Applied neuroscience is best described as the use of neuroscience tools and insights to measure and understand human behavior. Using applied neuroscience, leaders are able to generate data about critical moments of decision making, and then use this data to make confident choices that help to navigate the future of an initiative.

 

 その中でIKEAがどのように脳科学の手法を応用して新しいビジネスを模索しているかを紹介しています。

 

IKEAの事例

 IKEAはご存知のように、スウェーデン発のグローバルの家具ショップです。日本でもおなじみですよね。

 

 IKEAは今後の人口増加に対応する製品を作っていくためには、どのような新しいエネルギーや素材が使われるべきかを考え始めました。そこからさらに進んで、もしIKEAが再資源エネルギーを提供したり、消費者同士がエネルギーを提供しあえるサービスを提供した場合にはどうなるかという疑問にまでたどり着きました。

 

 その疑問に答えるために活用したのが脳科学の手法です。IKEAポーランドとオランダで、脳波を感知することができるヘッドセット(EEG (electroencephalograph) headsets)とアイトラッキング(目の動きをとらえる)を活用し、新しいビジネスモデルを提供した際の消費者の反応を探りました。例えば、太陽光発電システムをIKEAが提供した場合の反応はどうかというようなことだそうです。(実際に具体的な反応をどう図ったのかまではかかれていませんが😅)。その反応をもとに、太陽光発電のシステムを提供したり、プラスチック製の製品を廃止したり、いくつかの取り組みを既に取り入れています。

 

この記事を読んで

 日本ではどのような取り組みがされているのだろうと気になり、ネットなどで検索すると、脳科学を取り入れたマーケティングなどの動きはあるようです。ただし、以下の記事などを読んでいると、どちらかというとCMや購入時の反応評価など、今既にある商品や動きに対して活用しているというのがメインなのかもしれません。

adv.asahi.com

 

 それに対し、この記事では、さらに一歩先を行って今後のビジネスを作るためのデータを得るために脳科学をどう応用できるかという視点で紹介されています。例に出ている、IKEAの商品といえば安く購入でき、どちらかというと環境にやさしいというよりは「大量消費社会の象徴」というような印象がありました。近年のESG(持続可能な社会)への取り組みが企業に求められる中、将来の世界を考えたうえで既存のビジネスモデルを破壊してでもチャレンジしていく。。これは脳科学を利用するか以前に、今後の会社の方向性をどう見据えていくかという大きなビジョンをまず企業が持たなければできないことかと思います。

 

 日本企業を例にとった新たな消費者理解の記事がHBRに出てくることを期待しましょう!