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不祥事の背後にある3つの心理的要因とその対策:ハーバード・ビジネス・レビューの記事から学ぶ

 

不祥事を起こす心理的な要因とは

カルロス・ゴーンの会社経費の私的流用

スズキの無資格者による不正検査

レオパレス大和ハウスの施工不正

 

最近のニュースは一流企業の不正に関するものが後を絶ちません。

 

何故このような不祥事が起こるのか??それを心理学的な要因から説明した記事がハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事にありましたので、今回はこの記事を紹介したいと思います。

 

タイトルは”The Pscyhology Behind Unethical Behevior (非倫理的なふるまいの背後にある心理)”。リンクのサブタイトルにもあるように、悪いことをする衝動を常にチェックし続けることができるよう、心理的に何が起きているかを理解することがこの記事の狙いになっています。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

筆者はとりわけリーダーが不祥事につながる倫理的な境界線を越える要因として以下の3つをあげています。

 

  • omnipotence(裸の王様状態):直訳すると、”全能者”という意味なのですが、「裸の王様」という言葉のほうがすっきり来るような気がします。地位が上になるにつれて、何か悪いことをしても誰も咎めない、また規則は自分ではなく下々のものにあるというような特権的な意識からくるものです。ゴーンさんはまさにこのような状況ではないでしょうか。
  • cultural numbness(茹でがえる状態):直訳すれば”組織風土による麻痺”となります。説明ではもともと正しい倫理観を持っていたけれども、周りの影響を受けて徐々に不正を行っていく状態となっています。なので「茹でがえる」と訳したほうが適切かと思いました。
  • justified neglect (見て見ぬふりをする状態):これも直訳すれば”正当化した無視・無関心”となります。正当化(Justified)というのは、悪いと分かっていても知らないふり・見てみないふりをしたほうが自分にとってのメリットが大きいため、正しい行動を起こさないということです。

 

こういう心理状態はだれにでも起こりうることです。実際、不祥事は小さいことがきっかけで、いつもの間にかその大きな一線を越え大きな惨事になるということが普通なのです。ですので、特にリーダーの立場にある人は、この3つの要因に打ち勝つ対策を取らなければなりません。

 

その要因に打ち勝つための対策

  •  omnipotence(裸の王様状態)に打ち勝つ方法:まずは自分の間違いや失敗(flaw)を受け入れることです。上に行けば行くほど、自分に対して心地よいことは言ってくれても、耳の痛い率直な意見を述べてくれる人はすくなくなり自分の間違いを認めることが難しくなります。人間誰でも完璧ではありません。自分に対してきちんと正直な意見を言ってくれる同僚やコーチ、友人を持つことが非常に重要です。 
  • cultural numbness(茹でがえる状態)に打ち勝つ方法: 自分のモラルや道徳心の変化に注意するようにしましょう。何か自分の価値観が変わってしまったような気がするとか、組織の考え方に流されているなというように感じると自分の道徳心に悪影響をしている可能性があります。他の組織や企業と比較することで自分の組織を客観視すること、自分の組織のやり方が唯一の方法ではないことも認識することも役に立つでしょう。
  • justified neglect (見て見ぬふりをする状態)に打ち勝つ方法:これは組織的に正しいことを行うことを義務付ける正式なルールやガイドづくりを行うことが適切だというのです。正しいことを行うことは短期的にはコストや労力がかかったり、場合によっては自分のその組織でのキャリアの存続にもつながっていきます。正しいことをすることが長期的には組織にとっていいということをきちんと浸透させなければ組織で一人一人が正しい行動を起こすということが難しくなりなります。

この記事を読んで

以前勤めていた外資系企業では、コンプライアンスのホットラインがあり、24時間どの言語でも不正を告発することができました。告発した社員は守られましたし、逆に不正がわかった社員は即刻解雇されるという厳しい措置が取られていました。

 

翻って日本の企業でここまで毅然とした態度をとる会社はどこまであるのかと思います。もちろん、そういう措置があっても人間は簡単な方法に流れていきます。自分も含めこの記事で述べられていたような自分をきちんと振り返り戒めていくことが重要だと思いました。

 

不正のニュースが近いうちに少なくなりますように。。