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上位大学の卒業生は仕事もできる人なのか?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

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上位大学出身者は生涯年収も高い?

少子化になり、選ばなければ大学に入学できる時代になっても、上位レベルの大学に入れたいと思っている親や入りたいと思っている高校生は多いと思います。

 

正月返上で塾合宿で勉強している子供の姿が映るたびに、第二次ベビーブーマーで受験競争の真っただ中にいた自分よりも大変なのではないかと思ってしまいます。。

 

上位大学に入れたい、入りたいの理由の大きな理由の一つは、人生の大半を過ごす社会人になって「有利か」だと思います。

 

個人的には、25年近く働いていて学歴に関係なく優秀な人は優秀だと思うのですが、実際の年収で見ると違うんですね~。各大学の就職先の上位20社における年代別、生涯年収を比べた場合東大と大卒平均男子ではなんと1億7千万円の差がありました。

style.nikkei.com

100大学の30歳の想定年収調査(Openwork)でも1位の東大(約800万円)と30位の関西学院大学(約560万円)では1.4倍の差が開いていました。

 

大学による年収の差はアメリカでは更に大きくなります。

トップ10の大学出身の年収はニューヨーク市大学レベル(全米で55位)卒と比較して、キャリアの最初の時期でで47%、6年たつとなんと108%の差がついているそうです。

 

では、大学のランキングが高い人が仕事において優秀なのかという素朴な質問についてチャレンジした記事ハーバードビジネスレビュー(HBR)に掲載されていたので今回はこの記事を紹介したいと思います。

 

タイトルはずばり”Graduates of Elite Universities Get Paid More. Do they Perform Better?(上位大学の卒業生は給料を多くもらっているか彼らは仕事でも優秀なのか?)”です。

 

hbr.org

 *記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

 

パフォーマンスの差は大学ランキング1,000単位ごとでたった1.9%!

調査対象は79か国の294の大学から3万人近い学生。彼らは世界3万大学のWebometrics global university rankingの上位2万位に位置する大学に所属している学生です。

 

www.webometrics.info

 

このランキング初めて見ましたが、御多分にもれずアメリカが上位を独占しています。ちなみにハーバード大学は1位。

 

日本のトップは東大で65位、京大が97位です。

 

調査は、学生バーチャルな環境で2か月間コンサルティングプロジェクトで働いてもらった成果を観察し、Webometrics global university rankingとの相関性を見るという感じです。

 

成果指標は、プロジェクトの結果だけでなく他のメンバーとの協働やリーダーシップ、語学力、技術力、感情面での制御(Emotional Intelligence)、創造性なども含んでいます。

 

 調査結果は「上位大学の卒業生の成果はグローバルの平均大学(10000位)と比較して19%高い」というものでした。

 

これを見て「あ~すごい!」と思うかもしれませんが、学ランキングが1000位違うと1.9%の差にすぎません

 

ちなみに、日本の大学でグローバルランキングで1,000位違うというと、東京大学(65位)と山形大学(1073位)という感じです。

 

10,000位違うのはちょうど神戸女学院大学(10,065位)なので、この調査結果を素直に当てはまると東京大学神戸女学院大学の卒業生のパフォーマンスは19%違うということになります。

 

大きいのか小さいのかは。。微妙ですね(両方の大学をよく知っているわけではないので何とも言えませんが。)。

 

上位大学出身者はチームワークが苦手?

ちなみに上位大学出身者はとりわけ認知能力(cognitive ability)や語学力、文化面における知識は優れていたのですが、グループワークにおけるダイナミクスをうまく活かすことができないという結果も見られました。

 

上位大学の学生はビジネスの結果に集中する代わりに、対人関係がおろそかになり衝突を起こしやすいという傾向があったとのことです。

 

これは人との関係をうまく気づくことが会社の中でパフォーマンスを上げることが重要だと考えると、大きな痛手ですね。

 

また、位大学に行くメリットとしてよく上げられる「質の高い教授や同僚により高いモチベーションを持つことができる」という点については観察することができず、よりランクが低い大学の出身者も上位大学の学生と同レベルのモチベーションが観察されました。

 

こうした結果から筆者は上位大学の学生(特にトップ10といった狭い領域に絞って)にそこまで高い給料を払う必要性は感じられず、採用プロセスでは社交性や技術スキルを見ること、中堅の大学から採用してOJT (On the Job Training)で能力を伸ばした方がが効果的ではないかと主張しています。

 

日本でそのまま当てはまるかどうかは疑問ですが、「出身大学」というバイアスを取った場合に見えてくる学生の潜在能力や評価は変わるかもしれませんね。

 

日本でも同様の調査結果があれば面白いなと思いました。