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24時間顧客とつながる時代に必要な戦略とは:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

顧客と常につながることができる時代に突入

いよいよ令和の時代に突入しました😉。

 

個人的には元号の変化が何か特別だとは思いませんが、区切りとして一時代を振り返るきっかけにはいいと思っています。

 

平成で何が一番変わったかと尋ねられると、私は躊躇なく情報ネットワークをあげます。いつでもどこでも、世界中の情報にアクセスしたりやり取りができるということを30年前には想像さえできませんでした。

 

また、ネットワークが情報機器だけではなくモノにもつながり、さらに高速でつながる時代、とうとう24時間顧客とつながることができる時代が到来しました。

 

こうした時代に、どのようなつながりの戦略(connected strategies) を持つべきかということについて、ハーバードビジネスレビュー(HBR)の最新号(2019年5・6月号)のトップ記事が掲載されていましたのでご紹介したいと思います。

 

タイトルは、”The age of continuous connection(顧客と常につながる時代)"。そしてテーマはウェブ記事のメインタイトルになっているように”Is Your Business Built for 24/7 Customer Relationship? (あなたのビジネスは四六時中顧客とつながる関係に基づいて組み立てられているか)”です。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。
 

4つの”つながる”戦略

筆者は以下のような4つの”つながる戦略を紹介しています。ただし、4つをすべて行う必要はなく、顧客のデータの開示や提案を受ける嗜好、企業への信頼度、ビジネスの状況によって適切なものを選ぶべきだとしています。

 

4つのビジネスモデルを簡単にご紹介しましょう。

  • Respond to Desire(要求への対応):顧客のニーズに対し速くしかもストレスなく対応するための対策というのが適切でしょう。自分が何が欲しいかを知っているとき、顧客が企業に求めるのは素早くその商品やサービスを提供してくれることです。このニーズは企業側もよく認知しており、現在うまく行っているのはAmazonではないかと個人的には思ってます。検索するとほしいものがすぐに出てきて(しかも最安値の業者も探しやすい)、プライム会員であれば早ければその日中にしかも送料無料で配達してくれストレスが少ないですね。

 

  • Curated Offering(お勧めの提供):これは、以前紹介した記事のブログに書いたように顧客の嗜好にあったものをお勧めするための戦略です。これは1)選択肢が非常に多く、2)自分のデータを一定提供してもいいと思っているけれども最後の決断は自分でしたい顧客に対して有効になります。

    millebon.hatenablog.com

 

  • Coach Behavior(コーチング機能の提供):上記の「お勧めの提供」ではお勧めはするけれども決定権は顧客にありました。この「コーチング機能の提供」では、顧客が抱えている課題にさらに踏み込み、顧客のゴールを達成できるようにサポートをするというものです。スポーツやダイエットや継続学習などに適したモデルですが、個人の日々の細かいデータが必要となるため、顧客が個人データを提供することやコーチング機能を受けることを受け入れる場合にこのビジネスモデルが成り立ちます。

 

  • Automatic Execution(サービスの自動提供):このビジネスモデルではさらに一歩踏み込んで、顧客がニーズに気づく前にニーズに合ったサービス・商品を提供するというものです。実際、コピー機のトナーがなくなる時点で注文をしなくても補充してくれるサービスをHPやブラザーが実施しているとのことです。また従来からあるセコムのホームセキュリティサービスなどもこれにあたるものといえるのではないでしょうか。ただし、顧客の状況を随時モニターする必要があるため、顧客からの重大な信頼を得ることができること、そしてそのためにも顧客が個人情報の提供をどこまでならいいと考えているかをキチンと把握する必要があるということです。

 

これらの戦略のメリットは短期的には顧客とより深い関係を築き、顧客の経験をよりよくすることができること、そして長期的には顧客のニーズをよりよく知ることにより自社が提供する商品やサービスの見直しに役に立つということにあります。

 

ビジネスの競争優位性の一つの大きな要因は、消費者理解にあります。24時間つながる時代にあって、これから競争優位を持つためにはつながる戦略を根本的なビジネスの一部とみなさなければならないと筆者は述べています。

この記事を読んで

私はITの専門家でもマーケティングの専門家でもないので、顧客としてこの4つの戦略をどうとらえるかを考えてみました。

  • Respond to Desire(要求への対応):ネットを通じてサービスを受ける際には異論なし。楽天カードを持ってポイントを貯めたい衝動にかられても、時間のないときやすぐに手に入れたいときにAmazonを利用するのはこの点が優れているからです。
  • Curated Offering(お勧めの提供)/ Coach Behavior(コーチング機能の提供):よくネットの横に出るお勧め機能があまり好きではないので、自分が望む限りは勝手にしてほしくないというのが正直なところ。

  個人情報のうちどの情報が使われているかが明確

  信頼できる企業が提供

  自分でその提供を受けるかを選択できる

  何故その提供をしたのかが明確

この4つを満たしてかつ自分がおすすめを受けたい、コーチングを受けたいものであれば使ってみたいな~(例えばJINS MEMEのデータを通じて効果的なランニングアドバイスを受けられるなど。。その理由は興味があれば、こちらの記事をご参照ください)。

  • Automatic Execution(サービスの自動提供):これはさらに踏み込んだ内容ですね。今のところ自動化してほしいサービスは思い浮かびませんが、歳を取って買い物をするのがおっくうになったりネットでしか手に入らない商品・サービスで定期的に受けたいものがあれば「お勧めの提供」「コーチング機能の提供」の条件を満たせば受けたいと思うものが出てくるかもしれません。

 

こういう記事を読んでいると今では当たり前になったネットショッピングやネットでの情報収集もさらに変わる予感がします。こういう記事の発信や事例が日本発で多く出てくると、後塵を拝しているネットでの地位も高まるのではないでしょうか?