日々学び、感謝し、成長する

データとハートを活かす人事を目指した成長奮闘記(?)です

コロナ禍での”ステイホーム”は性格によって差が出る?:世界規模の調査結果より

 

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ブックマークの”断捨離”で見つけたコロナについての興味深い調査

大阪市内に住む私は、非常事態宣言前の12月初旬からちょっとした買い物やジョギング以外はステイホームの生活を送っています。

 

長い年末年始休みは、モノの断捨離をするとマンションのごみ置き場があふれるため、PC内のファイルの断捨離をしていました。

 

そこで以前何かの拍子でブックマークした”Greater Good Magazine”を消そうかな。。と思ったところコロナ禍でのステイホームと性格特性についての面白い記事を見つけたので、今回はこちらを紹介したいと思います。

 

タイトルは”Who Stays Home During the Pandemic-And Who Doesn't?(コロナ禍でだれが家にいていないか?)"です。 

greatergood.berkeley.edu

 ちなみに”Greater Good Magazine”はアメリカの名門大学カリフォルニア州立大学バークレイ校が科学的根拠に基づいた”よりよい人生”を生きるためのいろいろな調査研究やヒントを集めています。

 

改めてコンテンツを見直すとなかなか面白かったので、今後はちょこちょこ訪問しようかなと思います。

 

外向性が高いほどステイホームは難しい?

調査はコロナ禍の初期である2020年3月~4月にかけて55か国の10万人以上に対するアンケートを基にしています(調査自体の概要はこちらのページにまとめられています)。

 

性格特性については、調査で回答者が答えた質問を基に”ビッグファイブ”という5つの性格因子を活用しで分類し、ステイホームの度合いを調査しました。

 

”ビッグファイブ”はこの記事を読むまで知らなかったのですが日本でも結構知られている学説のようですね。

achievement-hrs.co.jp

 

 人の個性を分類するビッグファイブの5つの因子は以下の通りです。この特性は5つに当てはめるのではなくそれぞれの要因についての強弱を見て判断するもののだそうです。

  • Openess(開放性):好奇心の強さや想像力の強さ、芸術感受性、新しいアイデアや行為への親和性
  • Conscientiousness(誠実性):感情やコントロールする力や良心性、達成力の高さ、責任感の強さ
  • Agreauleness(協調性):他者への共感や配慮、思いやり
  • Neuroticism(神経症的傾向):ネガティブな刺激に対する反応の強さ
  • Extraversion(外向性):社交性や積極性、活発性

 

調査結果では、外出規制が厳しければ厳しい地域ほど、ステイホームの確率は高いのですが、規制だけでなくこの5つの因子による性格の違いも影響があったというのです。

 

端的に言うと外向性の高い人は他の4つの要因の高い人よりもステイホームをする確率が低いということでした。

 

外向性の高い人は社会とのつながりを重要視するためステイホームという新しい政策になかなかなじめなかったというのです。

 

一方意外なのが、開放性が高いということがステイホームを行う確率が一番高い指標になっているというのです。

 

この結果に対して調査を行った研究グループの意見は「開放性が高い人は海外からの情報をいち早く得ておりコロナ禍で自分がとるべき行動を把握していたのではないか」ということです。

 

この記事を読んで

 ステイホームが何度も求められたこの1年間、確かに人によってどこまで厳密に守るのかということは違うなということを何度も感じました。

 

特に日本では「世代間の違い」で片づけられることが多いのではと思うのですが、この記事を読んで個々の特性により新しい施策になかなかなじめない場合もあるということを理解する重要性、そしてそれは多様性を尊重するということにもつながるのではないかと思いました。

 

調査研究グループはこの結果を受け「外出制限といった政策も必要だけれども、その政策になじめない人にケアをしたメッセージを発信することも重要ではないか」と述べています。

 

行ってほしいメッセージを一方的に伝えるのではなく、どうしたらいろいろな人に届くメッセージになるのか、もう少し工夫があればいいですね。

 

あとは今回の結果がコロナ禍初期なので、今でも同じ結果になるのかが興味があるところです。

 

調査結果は以下のページより参加できます(日本語でも参加できます)。トップページの”Result”ボタンを見ると各国の回答結果もわかります。3月~4月時点ですが日本はあまりステイホームしていないですね。。

 

covid19-survey.org

 

いずれにせよコロナが早く収束することを祈るばかりです。

 

 

 

平均という考え方を捨てて個性を尊重しよう!:「ハーバードの個性学入門」を読んで

 

 

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「平均的な人は誰もいない」というシンプルなアプローチから始める

皆さんは「平均」という言葉を聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?

 

私が平均と聞いて真っ先に思い浮かんだのが「普通」です。

 

平均より身長が高いと「普通より背が高い」ということになりますし、平均より年収が高ければ「(程度の差はあれ)普通より恵まれている」と思ってしまいます。

 

何となくある「平均(普通)」のイメージ。でも「実は平均的な人なんていない」といわれたらどうでしょうか?

 

そのことをいろいろなデータや調査研究で教えてくれる良書が本日紹介する「ハーバードの個性学入門:平均思考は捨てなさい」です。

 

最近の日本の出版社の悪い癖で著者がハーバードやスタンダードの教授だったりすると大学名の冠を付け、それがこの本の価値を下げているような気がします(英語のタイトルは「The end of average:How we succeed in a world that values the sameness  (同質であることを価値として成功してきた平均の終焉)」です)。

 

ちょっと胡散臭いのかと思いつつ、本屋で立ち読みしているときに最初の米軍の空軍パイロットの話が面白くて、即買ってしまいました。

 

空軍パイロットの話とは、パイロットの平均の体に合わせて作ったコクピットの飛行機であまりにも事故が多いため、4000人近くのパイロットの身体を測って検証したところところ平均の体を持ったパイロットは全くゼロだったというお話です。

 

平均とは「身長、胸周り、腕の長さなど10か所について中間30%以内にすべて入るもの」という定義でそれなりに広いのです。

 

これは絶対的数値が出せる身体でさえ人のばらつきが大きいということを示唆しています。

 

そう考えると、よりあいまいな人の性格や性質、行動様式を平均という概念でくくることがそもそもおかしく、個性に正しく着目してこそ個人をより理解できるというのが「個性学」の考え方です。

 

個性に関する3つの原理

「個人により注目しなければならない」という個性学の背景にはを3つの原理があります。それは①ばらつきの原理、②コンテクストの原理、③う回路の原理です。

 

①ばらつきの原理:複雑な構成要素から成り立っているため、実際の特質には個々人大きなばらつきがあるということ。先に述べた空軍パイロットの身体的特徴に限らず、才能や知性、性格など人間のさまざまな特質はいろんな要素からなっており、ばらつきが非常に大きいこと。一方実生活では、「背が大きい人=体が大きい」、「数学ができる人=頭がいい」と単純化してしまうことでステレオタイプ化してしまう傾向があります。

 

②コンテクストの原理:個人の行動はコンテクストすなわち特別な状況に左右されるもので、コンテクストから切り離して説明することも予測することもできないこと。単純な例としてあげられていたのは、「家庭ではいい子なのに、学校では攻撃的でいたずらをする子供」。置かれた状況により行動は変わるので「こういう性格だ」と一次元的な見方では問題は解決できないということですね。

実際、人格的特性と行動の間に存在するはずの相関関係は0.3より強いケースはめったになく、これは数学的観点から見ると人格的特性で決定される行動は9%でしかないそうです!それなのに、「XXさんは△△だから〇〇をするんだよね」という決めつけたことをどれだけ言っているか。。

 

③う回路の原理:いかなるゴールも直線的に向かうのではなく、いくつかの方法がありしかもどれも妥当であること。そして最適なゴールは個性により決定されるということ。これは教育やトレーニングという点で非常に重要な視点だと思います。つい最適な方法は一つしかないという誤った考えの下、同質的な方法を強制しがちなのですが、発達は「網の目」のように進んでいくのであれば個々人にあったやり方を尊重すべきだということになります。実際学び方に柔軟性を与えたグループはそうでないグループよりも成績優秀者として評価された人が非常に多くなったということです。

 

平均という見方は大量生産消費時代を作るのには役に立った?

この本を読んで自分自身もステレオタイプ的な見方に以下に縛られていたかということを反省し、今後人に接するときには個々人を見る、コンテクストを考える、その人に最適な方法はもっとあるんじゃないかということを考えようと思いました。

 

そしてそれは自分自身にも当てはまります。例えば「人前で話すのが苦手だから」とおっくうになる前に、どういう状況ならうまくいってうまくいかないのかを考えることで、コンテクストを変えて挑む、「走るのが遅くなってきて歳だな」とあきらめる前に、「自分に合う方法はあるのではないか?」と考えたり、「直線的には成長しないから今は大丈夫」と前向きに考えられる指針としても使えそうです。

 

ちなみに「平均的な人間」という概念は比較的新しく1、800年初頭のベルギー人、アドルフ・ケトレーから始まったそうです。この平均的な考え方は産業の近代化と相まって生産の標準化をもたらし人々が豊かになる近代工業化社会の形成にも大きく貢献してきました。

一方、平均という概念は人をレベル化することにもつながり、画一的な生き方や考え方を良しとする方向性を作り上げていったとも言えます。

 

豊かな時代になったからこそさらに個性が求められる時代なのかもしれません。

 

もっと自由に生きる2021年にしたいものです!

 

 

 

説得する相手のコミュニケーションスタイルをまねると説得できる確率が増える?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

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相手を知っていれば説得しやすいのはその人のコミュニケーションスタイルをまねることができるから?

私たちは仕事やプライベートのいろいろな場面で相手から同意を得たり、説得しなければならない機会があります。

 

その人のことを知っていれば知るほど、同意を得やすいというのは通常ですよね(逆に毎回相性が合わない人もいなくもありませんが。。😅)。

 

その理由は、その人と関係性があるからではなく、関係性があることで相手のコミュニケーションスタイルを知り、そのコミュニケーションをまねているからだという興味深い記事をハーバードビジネスレビュー(HBR)で見つけましたので、今回はこの記事をご紹介したいと思います。

 

記事のタイトルは”Want to Win Someone Over? Talk like They Do. (説得したい人がいますか?それなら、その人のように話しなさい)”です。

 

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

この結果に至るため筆者の調査グループが用いたのが特許訴訟です。

 

関係者へのインタビューや公にされている特許訴訟のデータなどを基に調査を行ったところ、事前にその裁判官を知っていた弁護団は、裁判官のコミュニケーションスタイルをより反映して討論を行っており、その結果として勝訴する確率が高いということがわかりました

 

この結果は、裁判官との関係性による影響を取り除いて行ったものだということですから驚きですね。

 

また、1800もの法的書類をAIの文書診断により、裁判官・弁護士のコミュニケーションスタイルを4つに分けて調査したところ、裁判官のコミュニケーションスタイルを反映した弁護士は明らかに勝訴率が高いという結果になりました。

 

4つのコミュニケーションスタイル

筆者が調査で使った4つのコミュニケーションスタイルは以下のようになります。

 

Analytical Thinking(分析思考):フォーマルで、論理的で、順序だった思考が反映されているコミュニケーションが好まれる。逆に、インフォーマルなスタイルで、個人が反映される、もしくは物語風なコミュニケーションスタイルは評価が低くなる。

 

Clout(影響力):専門性や自信がみられるコミュニケーションを好む。謙遜や不安的な要素が多いと評価が低くなる。

 

Authenticity(正直さ):正直で、その人の個性が反映されたりオープンな印象を受けるコミュニケーションを好む。一方形式ばって相手を寄せ付けないコミュニケーションだと評価が低くなります。

 

Emotional Content(感情型):ポジティブで気持ちが上がるようなコミュニケーションを好む。一方、懸念点や不安、ネガティブなトーンはあまり評価されない。

 

皆さんはどれに当てはまりますか?私は仕事・プライベートでも分析思考が強いかなと思いつつ、プライベートではより正直さも重要視している感じがします。

 

この調査結果の活用方法

まず自分が説得したい相手のコミュニケーションスタイルに注意を払い、上記の4つのうちどれに当てはまるかということを知るということから始めるといいかもしれません。その際、筆者はコミュニケーションスタイルだけでなくどのようなツールがいいのか(例:メール、プレゼンテーション、話し合い)、事前の資料共有を好むのかということも抑えておくといいということです。

 

また、筆者は、相手のコミュニケーションスタイルを知るために、できるなら相手と関係性をきちんと持っておく(build genuine relationships)ということをお勧めしています。コミュニケーションスタイルを知るために関係性を築くという通常と逆の因果関係が面白いですね。

 

相手から同意を得る・説得させるためのハウツーはいろいろありますが、なんといっても土台は「相手を知ること」。4つのコミュニケーションスタイルを意識しながら、周囲の人を観察し、自分の意見が通りやすい方向に持っていけるといいですね!

問題解決策を考える前に必要なこと:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

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問題解決を急ぐのと問題から逃げるのは原因が同じ?

普段の生活には「片づけないといけないこと」「解決しないといけないこと」がたくさんあります。

 

自分の問題だけでなく、人の悩みや問題を聞いてもつい解決したくなったりしないでしょうか?

 

私は問題を早く解決するというのは決して悪いことではないと思っていました。

 

特に今のように刻々と状況が変わる中でとりあえず今わかる範囲で解決することがベストではないかと。

 

なので、ハーバードビジネスレビュー(HBR)で”How to Avoid Rushing to Solutions When Problem-Solving(問題解決の際に急いで解決策に行くのを避ける方法"という題を見た時、非常にドキッとしました。

 

hbr.org

 *記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

確かに大した課題であればその場で浮かんだ解決策で対処してもいいのかもしれません。

 

しかし、中にはその時した浅はかな決断が後後に大きな影響を与えることがあります。

 

最初の段落で驚いたのは、「脳のメモリーがいっぱいになった時、その問題をきちんと理解する前に決断をさけるか解決策に走ってエネルギーの消費を避けようとするというのです。

 

問題を回避するのと急いで解決策に走るのと同じだといわれるとショックじゃありませんか?

 

また、「TO DO List」にチェックマークを入れ、問題を解決するとドーパミンという脳の快楽物質が出るため、問題を解決したいという方向に流れてしまうんだそうです。

 

問題解決策を考えるまでにやるべき4つのプロセス

そこで筆者は解決策にすぐ行かないよう4つのプロセスを提案しています。

 

1.Go and See (現実をきちんと確認する)

問題解決にあたってよく言われるのが「データ」を用いることですが、データだけで問題を解決しようと「白か黒」というどちらかがよくてどちらかが悪いという単純な解決策に走りがちです。データは重要ですが、データとともにきちんと事実に向き合うことで本当に解決する問題が見えてくるというのです。

 

2.Frame Your Problem Prolery (問題をきちんと設定する)

実は問題の課題を解決するよりも、問題をきちんと定義することの方が大事なのです。いい問題設定は議論や選択肢を多用に与えてくれるのに対し、 逆に悪い問題は選択肢を狭め、簡単な解決策に行き詰らせてしまいます。

 

筆者が例として挙げている2つの問題設定があります。

 1.私たちの病院にはもっと換気扇が必要だ。

 2.私たちの病院の換気能力を上げる必要がある。

 

1は問題ではなく解決策です。もし問題ととらえてもこの問題設定から出てくるの「換気扇を買わないといけない」という選択肢しか出てきません。

一方2の問題は明確ではありませんが、状況や選択肢をさらに考えていくことが必要になります。それこそいい問題だというのです。

 

3.Tnink Backwords(後ろ向きに考える)

 問題に対してつい解決策という前方向に考えがちなのですが、そうではなく何故その問題にぶち当たったのかを考えてみる必要があるということです。そのためにフィッシュボーンなどのツールを使うことをお勧めしています。

 

4.Ask Why(なぜだと考える)

 これは問題解決においての王道ですね。「なぜ」を繰り返すことで、本当の問題を理解することの手助けになります。

 

この記事を読んで

4つのプロセスはどれも重要なのですが、特に最初のプロセスである「Go and See(現実をきちんと確認する)」ということが重要だなと思いました。

 

今いろいろなところでデータの重要性が声高に叫ばれ、私の専門である人事も決して例外ではありません。特にデータが集まる時代だからこそきちんと事実を確認することが重要なのではないかと改めて思いました。

 

筆者は以下のように述べています

 

Data without facts give you a two-dimentiional, black-and white view of the world. Facts without data give you color and texture, but not the detailed insight you'll need to solve the throniest problem. (事実のないデータだと二面的、白黒的な見方になってしまう。データがなく事実だけだと色や風合いを感じることはできるけど、解決が必要な厄介な問題に対して詳しい洞察を得ることはできない)

 

データと事実をきちんと見つめながら、深彫りできるプロフェッショナルになりたいものです。

 

 

 

 

コロナ禍ではなじみのあるものを買ってしまう?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

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コロナ禍での自分の買い物傾向

コロナ感染拡大の第三波がやってきて、週末の友人との登山や旅行をキャンセルする自粛モードに変えつつあります😥。

 

ただ今年になってからいろいろ自分の買い物傾向も変わりました。

 

まずはネットでの買い物が多くなったこと。楽天の「お買い物マラソン」に合わせて必要(時には不要?) なものを購入することが多くなりました。

 

購入するものとしては衣類・化粧品が劇的に減り、在宅勤務に関する商品を多く購入しました。

 

在宅勤務だとカジュアルな服で四六時中過ごせるので山のウェアを使いまわしたり。

 

服は基本試着しないと嫌なので、衣類の購入が減ったこともネットでの買い物が増えた原因かもしれません。

 

在宅勤務では快適に過ごせるよう1)PCモニターの購入、2)ワイヤレスマウス・キーボード一式、3)PCモニターにつけるWebカメラ、4)ワイヤレスヘッドフォンを順次購入しました。

 

おかげで会社・自宅のPCの切り替えもスムーズで快適です。

 

自分の購買行動の変化はこんな感じなのですが、ハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事で”In a Pandemic, We Buy What We Know(パンデミックの時には、なじみのあるものを買ってしまう)”という記事のタイトルを見て思わずポチりました(定期購読者なので記事を買ったわけではないですが。。)

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

なかなか興味深い記事だったので今日はこの記事をご紹介したいと思います。

 

感染症が蔓延するときに起こる2つの感情が購買行動に影響を与える?

この記事によると、感染症に対する反応として、fear(恐怖)とdisgust(嫌悪感)が強くなるといいます。

 

そしてこの2つの感情により人々の購買行動は保守的になり、なじみのある商品を買ってしまうというのです。

 

この仮説を確かめるために、筆者は2つの大きな実証分析をアメリカの疾病予防監視センター、グーグルのインフルエンザのトレンドデータ、購買データを使って実施ししました。

 

対象とした商品はペーパータオル、ジャンクフード、スープ、乾電池です。

 

その結果、感染症が蔓延しているときはすべての商品の購買量が増加したのですが、なかでもよりなじみのある商品をより多く買っていたのです。

 

筆者のグループは別途4つの実証実験を行い、実証分析と同じ商品カテゴリーで)感染症の病気(インフルエンザ)、2)感染症でない病気(心臓疾患)について読んでもらった後なじみのある商品となじみのない商品のどちらを購入するかをテストし、同様の結果になったということです。

 

ではなぜ感染時にはなじみのある商品を購入してしまうのでしょうか?

 

感染症の蔓延というのは自分ではどうしようもできないことが通常より多く発生します。その結果、自分でコントロールできる範囲を無意識に探し、なじみがあり信頼のある商品を購入してしまうというのです。

 

こうした消費者行動を考えると、筆者はメーカーに対して新しい商品を市場に投入するよりも消費者から一番信頼されている商品に注力して販売をした方がいいということをすすめています。

アメリカではオレオやマクドナルドが大人気

 この結果を裏付けるように実際アメリカでは、オレオやドリトスといった著名なブランドのスナックやマクドナルドのドライブスルーがこのコロナ禍では人気を博しているということです。

 

ある大手食品ブランドのCEOは「パンデミックでは人々はより健康的な食品を選ぶようになるだろう」と予測したようですが、人々はなじみのあるジャンクフードも捨てなかったようですね。

 

日本では実際どうなのでしょうか?確かに日用品やお菓子の関係でコロナ関係以外は大きなヒットは少なかったような気がしますが。。

 

 

 

自信過剰は伝染する?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

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不祥事の背後には自信過剰な企業文化がある?

商品欠陥の隠蔽、粉飾決算、企業幹部のお金の使い込み。。企業の不祥事に関するニュースは日々流れてきます。その中でも2001年に起きたアメリカのエネルギー企業「エンロン」による会計不正、それに引き続く同社の倒産は史上まれに見る企業スキャンダルとしてHBR(ハーバード・ビジネスレビュー)の記事でもいまだにしばしばこの言葉を目にします。

 

その原因としてはもちろん企業幹部に帰するといわれることがほとんどなのですが、自信過剰になった不健全な企業文化もその一員ではないかという記事をハーバードビジネスレビュー(HBR)で目にしました。というのも自信過剰、「傲慢な文化」というのは、組織内に伝染するからだというのです。

 

ということで今回は、"Overconfidence is Contagious(自信過剰は伝染する)”という興味深い記事をご紹介したいと思います。

hbr.org

 *記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

自信過剰が伝染する様々な調査結果

筆者は「自信過剰がどのような形で組織に出現し伝染するのか」を調べるためにいくつかの調査を行い、競争を促す・リスクをとることを良しとする報奨制度と同様に、周囲にいる人が自信過剰であればそうでない人にも伝染し、自信過剰で傲慢な企業文化が出来るといっています。

 

そのために自分の周りにいる人が自信過剰な言動をとるとその人も自信過剰になるという結果を6つの研究から導き出しました

 

調査結果の事例は以下のようなものです。

-見知らぬ人の性格を当てる調査をまず個人個人で行わせる。その後ペアで15分何か同じような共同作業をさせると、自信過剰な人とペアになった人はそのあと自信過剰のレベルが上がっていた(もちろんお互いのレベルはわからずに共同作業を行っています)

 

-パートナーとなる人の自信過剰レベルはわかっており、しかも自信過剰でミスをした場合に罰金を払ってもらうという条件下で自信過剰レベルを測定。やはり自信過剰な人を見た後では自信過剰のレベルは上がっており、逆に自信の低い人を見た後では下がっていたという結果が出た。

 

-自信過剰はその場だけでなくそのあとも続く:重量当てゲームでパートナーが自信過剰を示した数日後、別のゲームをやってもらったところやはり自信過剰な傾向を示した(しかし、数日後に自信過剰を示した人はパートナーの影響を全く忘れている)

 

-自信過剰は同じ組織内の方が広がりやすい:重量当てゲームを同じ大学の仲間でやったグループと違う大学(しかもアメリカンフットボールでライバルの大学)のメンバーとやったグループでやった時だと、自信過剰の伝染は前者のみに見られた。

 

なかなか面白い結果だと思いませんか?

この記事を読んで

感情の伝染については以前の記事でも書きましたが、改めて「どんな人と一緒にいるか」ということの重要性と、「自分の感情も周りに影響を与えているんだ」ということを意識させられた内容でした。

millebon.hatenablog.com

 

特に自信過剰なリーダーというのは会社のリスクにさらす確率が高いということがいろいろな結果から示されているそうです。そう考えると企業を見る上においても幹部の話し方や態度が自信過剰でないかを注視する必要はありますね。

 

いろいろと勉強になりました!

 

 

 

ヤマレコマップをApple Watch6で使ってみました

 

まずは下準備!

 

GarminからApple Watch6に乗り換えてから2度山に登りに行きました。

 

普段登山で使うアプリは「ヤマップ」なのですが、Apple Watchで使えるアプリといえば「ヤマレコ」!ということで、Apple Watch3で試した1年3か月ぶりにヤマレコを利用しました。

 

この時はブログに書いたように、使えなかったのですがAppleWatch6では「ヤマレコ」は大活躍です!もしApple Watch4以降をお持ちなら登山やトレッキングに是非活用することをお勧めします。

millebon.hatenablog.com

 

下準備としては以下の通りです。(詳細は、ヤマレコの「Apple Watch使い方マニュアル」を参考にしてください)

 

1.ヤマップアプリをApple Storeからダウンロード

 

2.iPhoneのヤマップアプリから地図もしくは登山計画(iPhoneもしくはPCで立てたもの)をダウンロード

 

3.Apple Watchでヤマレコアプリを起動した後、iPhoneのアプリで「Watch」ボタンを押して地図をApple Watchダウンロード

*この際スリープモードになるとダウンロードが中断するので画面を触りながらスリープモードにならないようにすることが必要になります。Apple Watch 5以降は少なくとも地図のダウンロードの時は「常時表示モード」にするとこの問題は一気に解決されます。

 

あと、Apple Watch6の画面も登山仕様のものを「マイ文字盤」で作っておくといいです。私は登山中、心拍数、歩数以外にも高度やコンパスが知りたいので以下のような設定をしています。

(一番下の3つは左から「高度計」「コンパス」「ヤマレコアプリ」です)

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登山用ウォッチ画面

 

iPhoneでヤマレコを起動すればApple Watchにも表示されます!

 登山中、Apple Watch6を表示させるためには、まずiPhoneのヤマレコアプリで、「登山開始」を押します。

 

そうすると、Apple Watch6の方に登山地図が表示されます。

 

最初の登山では何度も上記の時計表示になっていてヤマレコアプリを押していましたが、設定の「画面のスリープ解除」の「時計に戻る」を「Crownが押された後」にするといいんですね~(まあ、画面を常時表示にしておけば問題はないのでしょうが、電池節約のために非表示にしています。。。)

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設定=>画面のスリープ解除=>時計に戻る

 

地図はこんな感じで見えます(ぼやけててすみません。。)。また画面をタップするとその時の高度や消費カロリーなどの詳細も見ることができます。

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最初地図の拡大方法がわからず、画面をタップし続けたのですが詳細情報が表示されるばかり。。地図の拡大はCrownボタン(右上のダイヤルです)を時計回りに回すことで拡大されます。

 

使ってみての感想

ブログの最初にも書きましたが、Apple Watch3と異なりWatch6で使うヤマレコは便利!というのが感想です。

 

スマホを出さず今どこにいるのかどうかが一目でわかるというところが大きなメリットだと思います。初めて山地図を時計で見ることができたというのは大きな感動でした。

 

また、電池の消費も非常に少ないです。6時間程度歩いて電池の消費は10%程度でした(常時表示ではありませんが。。)。日帰り登山用には電池を心配することなる使えると思いました。

 

一方、画面はそれほど大きくないのでナビとしてどこまで正確に使えるかは未知数です。地図の拡大方法はわかりましたが、登山道から少しずれた際にどこまでわかるか。。2回登った山はどちらも迷いようのない山だったのでこちらの経験はできませんでした。

 

11月下旬に迷いやすい低山ハイクに行く際にルートを設定していくのでその際にこうご期待でしょうか。

 

それにしてもこの3年間でのApple Watchの進歩。恐るべしです!

 

 

 

 

ガーミンからアップルウォッチへ再び戻りました

 

1年間GarminForeAthlete945を使って感じたこと

 今年1月のブログで書いた通りちょうど1年前にApple Watch3からGarmin ForeAthlete945に乗り換えました。


millebon.hatenablog.com

 

ですが、今年9月に新しいApple Watch6が出たのを機に再びApple Watchに戻ることになりました。

 

理由はいくつかありますが大きな理由は2つでしょうか。

 

①GarminForeAthlete945は登山時計としては使えない

GarminForeAthlete945はランニングやトレラン用に使うためにはとてもいいGPSウォッチだと思いました。なんといっても電池持ちがいいですし、トレーニングメニューなどもいろいろと用意がされています。またConnectIQを使って自分仕様のウォッチフェイスをカスタマイズすることができます。

 

一方、登山用としてはあまり使えないというのが正直なところでした。高度や方位は確認できるのですが、地図は登山用の地図は使えない(いろいろと探してみましたがダメそうでした。せっかく別の時計で登山用の地図を提供しているのであれば有料でも提供するといいんですが)ですし、登山時における歩数計や運動消費カロリーが適切に反映されていませんでした

 

9月の4連休に立山三山に登った時、5時間強山道を歩いて歩数8000歩、消費カロリー400キロカロリー。。今までの経験上あり得ない少なさです。

 

ちなみにその時高度もかなりずれていました(300メートルほど?)。3000メートル級になると機能が正しく動かないのでしょうか。。

 

もしかしたら設定の問題かもしれませんが、アクティビティとして「登山」が選べる以上もう少し登山で使える時計であったらいいなと思いました。

 

②Appple Watch6でGarminに買い替えた時の不満が解消されそう

1月のブログで書いた通り、Apple Watch3への不満は①電池の持ちと②高度計への対応でした。②についてはすでにApple Watch4で解消されていましたが、①についても少なくとも1日単位では充電なしで使え、かつ充電スピードもかなり速くなったというのが前評判でした。

 

また、Apple Watch3を1万円で下取りしてくれそうだということやForeAthlete945の時計はメルカリでAppleWatch6以上のお値段で中古でも売れそうだということもあり、まずApple Watch6を購入することにしました。

 

AppleWatchSEではなく6にした理由

ご存知のようにApple Watch6の発売と同時に廉価版のSEも発売されました。

 

双方一番安いGPSのモデルでSEが29,800円、6が42,800円。税込みで考えると6の値段はSEの1.4倍以上になります。

 

Appleの公式ページでモデルを比較したとき、機能上の違いは1.血中濃度酸素の測定と2.常時表示ディスプレイ。どちらも私にとっては重要でないのですが6を購入することにしたのはやはりバッテリーの持ちです。

 www.apple.com

 

以下の記事にもあるようにワークアウトでのバッテリーの持ちが1時間違うというのと、後は充電スピードがSEではフル充電に2.5時間かかるのに対し6では1.5時間!

この違いは大きいなと思いました。

www.itmedia.co.jp

電池の消費が全然違います!

購入したのはゴールドアルミニウムケースでスポーツループ。バンドはソロループが話題になっていましたが、サイズを選ぶのが難しそうだったのでやめました。

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Applewatch6

オンラインで予約して心斎橋のアップルストアに取りに行ったのですが、すごい人だったので、ソロループへの交換ができるかとか相談できるような感じではなかったです。

 

スポーツループは最初見た感じが「安っぽい」と思いましたが、慣れると手首にピッタリ付けられるのですごく快適です。

 

AppleWatch6で実感したのは電池の持ちと充電の速さ、そして操作性の速さです!

 

以前は1時間ほど走れば半分近く電池が減り、1日つけていると20%近くになっていました。

Apple Watch6では1時間ほど走っても10%程度しか電池が消耗しません(ちなみに私は常時表示ディスプレイにはしていません、腕を上げた時に見れればそれで十分なので)。上記の写真は、昨晩100%に充電して睡眠中もつけて使った後ですが、10%程度しか減っていないのがお分かりいただけるかと思います。

 

充電は夜お風呂に入る前に行いますが、大体50%以上残っていることもあり1時間もしないうちに充電ができてしまいます。

 

あと操作も圧倒的に速いです。この間ヤマレコマップをダウンロードしましたが、Applewatch3の時とは違い3分程度で終わりました。

 

この2年近くで大きな進歩を感じました!

 

次はApplewatch6で使ったヤマレコの感想をお伝えしたいと思います。

人とのつながりを感じるためにはメールやSNSよりも電話:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

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どのコミュニケーションツールを使うか迷いませんか?

私が社会人になった時にはまだ仕事でメールを使うことはなく、コミュニケーションツールは電話とファックスがメインでした。

 

それや今ではすぐに連絡を取りたいときは電話はほとんど使わず、社内外のコミュニケーションはメールもがメインとなっています。

 

社内では、在宅勤務が主流となってから対面で話すことが少なくなったために、Skypeでのチャットもよく利用します。電話をするときもまずチャットで「電話をしていいか」確認をしてから電話をするようにしています。

 

相手の顔が見えない中でどのコミュニケーションツールを使うのか悩む際に”Research:Type Less, Talk More (調査研究:タイプを少なくし、もっと話そう)”というハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事が目につきましたので今回はこの記事を紹介したいと思います。

hbr.org

 *記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

つながりを感じたいなら「電話」でつながった方がいい

この記事では、コミュニケーションツールは「情報の伝達手段だけでなく人間関係を維持する手段」であり、後者の視点からどのコミュニケーションが適切かをいくつかの調査研究結果を通じて紹介しています。

 

人間関係・社会関係の維持は社会的動物である人間にとって自分たちの幸福や健康にとって不可欠なものであり、いい関係ができていれば仕事もスムーズにいきますからね。

 

いくつかの実験結果から結論はずばり「メッセージを打つより話した方が関係性に良い影響を及ぼすので、できるだけ話した方がいい」というものです。

 

でも人はメッセージを打つ方を好むのでしょうか?それはつながる前まではメッセージの方が電話で話すよりもスムーズにコミュニケーションができると感じることが多いからなのです。

 

でもこの前提は正しくありません。実際筆者が行った実験では長らく連絡を取っていなかった友人にメールか電話どちらかで連絡を取るように人々にランダムにお願いしました。

 

結果は電話で話した方が友人とのつながり・親近感をより感じられただけでなく、電話でもメッセージをタイプしてもコミュニケーションのスムーズさは変わらなかったのです

 

つまり、コミュニケーションする前、勝手な思い込みで目に見えない壁を作ってしまい、電話で声を聞いた時のメリットを受けそこなっているということですね。

 

これを読んで、もっと電話でつながろうと思いました。

 

ビデオ通話と普通の電話、どっちがいい?

ただ、この記事で意外だったのは「ビデオ通話で相手の顔を見て話しても、声だけの普通の電話とつながりや親近感に違いがない」という結論だったことです。

 

筆者は見知らぬ人に対してチャット、ビデオ通話、音声のみのいずれかで人生についての意味のある質問を投げかけてもらう実験をしました。結果チャットとビデオ通話、音声ではビデオ通話、音声ではよりつながりを感じましたが、ビデオ通話で相手の顔が見えたことでよりつながり・親近感を感じるということはなかったそうです。

 

この意外性の感覚は、よく言われているメッセージの伝達の中で言葉が占める割合が7%、声やトーン・口調は38%、ボディランゲージは55%という「メラビアンの法則」からきているかもしれません。

 

でも実際この「メラビアン」の法則は言葉/声やトーン・口調/ボディランゲージの要素が矛盾した内容を送っている状況に置いての伝達の割合なので人とのつながりという点で顔を見た方がいいかどうかはまた別なのかもしれませんね。

ja.wikipedia.org

 

また、ビデオ通話だと会話への集中度合は高い場合が多いような気がします(目線を相手に合わせないといけないため)。その分話をよく聞いてくれている、聞いているという状況はできやすいかと思いますが、電話でも集中して聞けば(スマホなどをいじらず)同じくらいの親近感はあるかもですね。

 

声の重要さ、もっと大事にしようっと。

 

 

 

「忙しい」と生産性は落ちる?:ハーバードビジネスレビューの記事から学ぶ

 

 

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忙しいと生産性が落ちるという調査結果の衝撃

会社でもプライベートでも「最近どう?、仕事忙しい?」と聞かれて多くの人が「忙しい」と答えるのではないでしょうか?

 

実際仕事中はやるべきことはいくらでもあります。今の会社では残業はほとんどありませんが、数年前まで前の会社で働いているときは1日最低でも10時間は働いて、ひどい時は土日も仕事にあてていました。

 

もし、数年前の私が見たらショックを受けるような忙しさについての研究結果に言及したハーバードビジネスレビュー(HBR)の記事を見つけたいのでご紹介したいと思います。

 

タイトルは”Preventing Busyness from Becoming Burnout (多忙により燃え尽き症候群になることを防ぐ)”です。

hbr.org

*記事の購読は定期購読者以外は3本まで無料。その後は1記事当たり約9ドル課金されます。

 

記事のメインは、忙しさを是とする企業文化は組織単位で取り組まなければいけないという主張の下、アメリカのNPOでの取り組み事例からのヒントを提供しているのですが、私にはその前段の「忙しさと生産性の関係」と「何故忙しさを是とする風潮になるのかという」点がより興味深かったです。

 

まず第一の点ですが、仕事が忙しくなると焦点を置く範囲が狭くなるというのが生産性が落ちる大きな要因です。こうした事象を行動研究では”トンネリング”というそうなのですが、目の前にある最も緊急だけれども重要度は低い仕事にしか集中できなくなるということです。

 

調査研究によると、こうしたトンネリング状況ではと知能指数(IQ)が13も低下する状況になるというのですから生産性が低下するというのは理解ができますよね。

 

ホワイトカラーの生産性を測る指標がないことが私たちを忙しくさせている?

ではなぜ生産性が悪くてもこのような忙しい働き方をするのでしょうか?

 

筆者は”Busyness has become the new badge of honor(忙しさが新しい勲章となったからだ)”といいます。

 

長時間働いている人というのは「仕事に熱心な人」という印象を与えますよね。

 

工場労働者とは異なり、ホワイトカラーの生産性を効果的に測る指標というのはまだ存在していません。

 

そのため、忙しく働いているというのは仕事に熱心でリーダーシップ(昇進)の可能性があるというシグナルを周りに与えるものとなっているということなのです。

 

この記事を読んだとき、日本の状況では「あるある」なのですがアメリカでもそうなのだということで驚きを感じました。

 

人はわかりやすいものを指標にしてしまう傾向があり、会社組織や社会での評価はそのわかりやすい指標に従ってしまうことになります。

 

でもそのわかりやすい指標が実際の仕事の生産性を悪くしている、さらに仕事と生活のバランスがうまく取れずストレスになり、ハッピーでないのであれば組織ぐるみで変えていく必要があります。

 

「忙しさ」から抜け出る組織文化を作るためには?

そのためのいくつかの事例はこの記事と最近出ていた別の記事(How to Defeat Busy Culture(忙しい会社風土をどう克服するか))にありましたので興味深い例をいくつか紹介したいと思います。

hbr.org

事例1:休暇中全く働かなければボーナスを提供する

Full ContactというIT会社は休暇取得中に①仕事のメールを見ない、②働かない、③家にいない確認できた場合、年間で7500USドル(日本円にして約795,000円)のボーナスをもらえるという制度を数年前に取り入れました。

この導入成果はすこぶるよく、休暇から戻った後の社員は仕事に対してより熱心に取り組んでいるということです。

 

事例2:重要な仕事のために空き時間(Slack)を設定する

人は仕事にかかる時間や労力の予測をすることが得意ではありません。そのため重要な仕事のために空き時間を毎週用意しておき、緊急の仕事が入って片づけられなかった仕事を終えるためにあてるというものです。これは病院の手術室を1部屋緊急用に置いておくことで、手術の数が多くなりスタッフの残業を減らしながら収入も増やすことができたという事例を応用したものだということです。

 

いかがでしょうか?まずは「長時間労働をする人や忙しそうにしている人が生産性が必ずしも高くないのだ」という認識を組織全体で持つことが必要かもしれませんね